乳がん治療の流れ

非浸潤がん(ステージ0)の場合の治療の進め方

がん細胞が乳管や小葉の中にとどまっている非浸潤がんでは、適切な治療をおこなえば転移や再発をすることはほとんどないと考えられています。
非浸潤がんで腫瘍の範囲が小さいと考えられる場合には、乳房部分切除術あるいは乳房部分切除術とセンチネルリンパ節生検をおこなって、術後に放射線療法をおこないます。非浸潤がんであっても腫瘍が広い範囲に及んでいる場合には、乳房全切除術が必要になります。また、非浸潤がんであれば、微小転移を伴う可能性が低いと考えられ、術後の薬物療法は必要ありません。
ホルモン受容体が陽性の場合には、乳房部分切除術後に抗ホルモン剤を5年間内服するという選択肢もあります。

浸潤がんの治療の進め方

ステージⅠ~ⅢA(腫瘍が比較的小さい場合)
浸潤がんであっても、腫瘍の大きさが比較的小さく、石灰化が広範囲に広がっていないような場合には、乳房部分切除術で乳房の温存が可能です。腫瘍が乳頭に近い場所にある場合でも、乳房温存手術ができることもあります。乳房温存術を選択した場合には、原則として術後に放射線療法が必要になります。また、必要に応じて術後に薬物療法をおこないます。

ステージⅠ~ⅢA(腫瘍が比較的大きい場合)
腫瘍の大きさが比較的大きく、乳房部分切除術が困難であると考えられる場合には、乳房全切除術をおこないます。なお、ステージⅠの患者さんでも、マンモグラフィで広い範囲に石灰化が認められたり、CTやMRI検査の結果、乳房内の広範囲にがんが広がっていると考えられる場合には乳房全切除術をおこないます。
腫瘍が大きいために乳房を温存できないとなった場合でも、術前に薬物療法をおこなって腫瘍を小さくすることができれば、乳房部分切除術が可能になる場合があります。

腋窩リンパ節の切除
手術前に明らかに腋窩リンパ節転移が認められる場合には、腋窩(えきか)リンパ節郭清(かくせい)が必要です。
腫瘍の大きさに関係なく、手術前の検査で明らかな腋窩リンパ節転移がない場合にはセンチネルリンパ節生検をおこないます。センチネルリンパ節に転移がなければ、腋窩リンパ節郭清は省略できます。

術後の薬物療法

  • 【化学療法】(抗がん剤治療)
    化学療法をおこなうかの決定については、乳がんの進行度やグレード、HER2やホルモン受容体の状態など乳がんの性質によって異なります。
  • 【抗HER2療法】(分子標的治療)
    HER2陽性で、腋窩リンパ節に転移がある、あるいは腋窩リンパ節に転移はなくても再発リスクが高いと判断された場合に、トラスツズマブ(ハーセプチン)などの分子標的治療薬による抗HER2療法をおこないます。分子標的治療薬は、アンスラサイクリン系薬剤やタキサン系薬剤などの抗がん剤と組み合わせて投与されます。
  • 【ホルモン療法】
    ホルモン受容体が陽性の場合、ホルモン療法をおこないます。ホルモン受容体が陽性でHER2が陰性の場合には、ホルモン療法をおこないます。がん細胞全体におけるホルモン受容体陽性細胞の割合が多いほど、ホルモン療法の効果は高くなります。

ステージⅢB、ⅢC
がんが乳房表面の皮膚や胸壁にまで及んでいたり、鎖骨上のリンパ節にまで転移が及んでいたりする場合は、そのまま手術することはできません。また、体のどこかに微小転移を伴う可能性が非常に高いため、主な治療手段は薬物療法となります。薬物療法によって腫瘍が縮小した場合には、手術や放射線療法などの局所治療を追加することが検討されます。

ステージⅣ
転移乳がんとして全身治療をおこないます。乳房から離れた場所にがんの遠隔転移がある場合、現在の治療法では、全身のどこかに潜むがん細胞を根絶するのは難しいと考えられます。遠隔転移に対しては手術はおこなわず、薬による治療が基本です。乳がんに有効な薬にはさまざまな種類がありますので、効果をみながら治療を続けていくことになります。

薬物を用いた乳がんの全身治療

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