ガンに関する情報」カテゴリーアーカイブ

ガンを予防するための食事や生活に関する情報。 ガンの予防や治療法 について。 ウォーキングで乳がんリスクが低下できる など。

血液成分の働きとガンのサイン

血液を腕の静脈から注射器で採り出し、ガラスの容器に入れて放置すると、ベトベトとした赤黒いものが沈んでいきます。つまり、重いから沈んでいくのであって、この中には、赤血球、白血球、血小板などの血球、つまり有形成分が含まれています。

上のほうの澄んだ部分は 血清 といい、血清とフィブリノーゲン( 繊維素原 )よりなっていますが、フィブリノーゲンは、下に沈んだ血球を固まらせる作用があり、結局は、上方の澄んだ部分は、文字通り血清であるわけです。

血清の90%は水分で、残りがタンパク、糖、脂肪、ミネラル、ビタミンなどの栄養素、それに、肝臓やすい臓などの細胞内で行われる化学反応の触媒をつかさどっている酵素、内分泌臓器でつくられたホルモン、肺から取り込まれた酸素、その他、体内60兆個の細胞の生活(代謝)の結果つくり出された老廃物などです。

こうした血球や血清の成分の多すぎ、少なすぎでもって、現代医学はさまざまな病気の診断をしています。こうした成分の多寡も、狭い意味での瘀血=汚血と考えてよいでしょう。

そこでまず、この血液の成分および、それぞれの多寡が何を意味し、どういう病気と関連しているかについて、考えてみることにします。

血球

1.赤血球数の増減がガンのサインとなることもある

肺に吸い込んだ空気の中の酸素は、肺胞の壁の中を走っている毛細血管内の赤血球がキャッチして、全身の細胞に送り届けられます。

正確には、赤血球の赤い色を出している血色素(ヘモグロビン)が、その役を果たしています。全身の細胞に酸素を送り届けた赤血球(血色素)は、細胞の代謝(生活)の結果、排泄されたCo2 (二酸化炭素)と結合して肺まで運び、肺から呼気として排泄させているわけです。

貧血とは、赤血球が少ない状態を指すのですが、換言すれば、酸素を運ぶトラックの数が少ないわけですから、貧血になると、全身の組織、細胞に十分な酸素が供給されないため、手足の冷え、しびれ、脳貧血などの症状がおこるわけです。
貧血の予防と治療

少ない台数のトラックを、スピードを速くして仕事を遂行しようとする結果、心臓は速く動いて、頻脈、動悸などの症状がおこるわけです。貧血は、厳密にいえば次のように分類されます。

低色素系貧血

赤血球の数は正常(男性:430~570万、女性 370~500万)でも1個1個の赤血球がうすい状態をいい、血色素(男性:13.5~17.5g女性:11.3~13.2g)の主要成分である鉄が不足しておこる貧血です。

鉄欠乏性貧血ともいわれます。たとえば、赤血球数500万個、血色素9.0のような場合で、「貧血」の70~80%はこのタイプです。

食事からの鉄の摂取不足、胃腸の病気または、吸収力低下のための鉄の吸収障害なども原因となりますが、中年以降で、鉄欠乏性貧血が存在するときは、胃・十二指腸潰瘍、痔、子宮筋腫などからの出血がいちばん疑われます。

まず、そうした基礎疾患の発見が必要ですが、食事は、鉄分の多い食物=色の濃い食物、っまり浅草のり、小豆・黒豆、ホウレンソウ、黒ゴマ、プルーン、魚の血合肉 などをしっかり食べる必要があります。

高色素系貧血

赤血球数は少ないのに、血液中の血色素の量は正常に存在するので1個1個の赤血球の色素は濃くなっているという状態です。

つまり、赤血球数350万個、血色素14.0というような場合です。この夕イブは、ビタミンB12や葉酸の摂取不足によっておこる悪性貧血や、飲酒過多による貧血のときに見られます。

正色素系貧血

たとえば、赤血球数350 万、血色色素9.0というような場合です。溶血性貧血、再生不良性貧血など、めったにお目にかかれない貧血もこのタイプですが、ガンが進んでくると、この正色素性貧血になることが多くなります。

ほかに何の自覚症状、他覚症状がなくても、検査上、正色素性貧血が存在するだけで、ガンを発見できることがときどきあります。

すべての病気で、それが長引いたり、重篤化してくると貧血傾向になりますので、貧血がある人は、種々の精密検査を受ける必要があります。

貧血とは逆に、赤血球が600万以上、血色素が18以上の場合を多血症といいます。これは、脱水状態(下痢、利尿剤の服用のしすぎなど)でもおこりますが、骨髄での造血が異常になり、赤血球だけでなく、白血球や血小板などほかの血球も同時に増加する場合を真性多血症といい、将来、白血病などに移行することもあるので要注意です。

また、慢性の肺疾患や心臓弁膜症などで体内への酸素の取り込みが不足すると、生体では酸素の運び屋である赤血球を増加させて酸素不足を補おうとするメカニズムが働きます。
これを症候性多血症といい、ヘビースモーカーの人や、高山に登った時などにも見られます。

2.免疫作用の先兵、ガンにも活躍する

白血球というと、ばい菌を食ってくれる細胞というイメージが一般の方々にはありますが、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球と大きく5つに分類され、リンパ球はさらに、その働きによっていくつかに分類されます。

好中球
白血球中、いちばん多い細胞で、これこそ、病原菌の貧食・殺菌をはじめ、体内の老廃物の貧食処理をしてくれる、免疫作用の先兵のような白血球です。好中球1個でだいたい、病原菌を14~15個、貧食するとされていますが、肥満した人、力は、低下しています。好中球も栄養過剰の満腹状態にあり、い、というところでしようか。
リンパ球
  • B細胞
    骨髄でつくられている細胞という意味で、いわゆる抗体(免疫グロブリン) を産生します。1回ハシカにかかると2 回はかからないというのは、侵入したハシカウイルスに対して、このB細胞が抗体をつくり、2回目のハシカウィルス(抗原)の侵入時には、抗体が抗原をやっつける(抗原・抗体反応)ことによって、ハシカの発症を抑になえるわけです。
    はしかはこちら。
    こうしたB細胞が担っている免疫現象を液性免疫といいます。
  • T細胞
    胸腺でつくられるリンパ球で、ガン細胞をはじめ人体にとって異物となる有害物を直接破壊する作用があるので、T細胞の働きは細胞性免疫と呼ばれます。また、B細胞の働きを助けるという作用もあります。
  • T細胞
  • NK細胞・K細胞など
    ガン細胞の自然の殺し屋という意味で誰の体内でも常に発生しているガン細胞を殺して、人体がガンという病気にならないように、頑張ってくれている細胞です。

単球(マクロファージ)
白血球中、最も大きいのでマクロファージと呼ばれ、血管外に進出して細菌や結核菌、真菌(カビ)などを貧食する働きがあります。また、マクロフア⊥ ソ活性因子(インターフェロンなど) によりTNFを分泌してガン細胞を破壊する作用もあります。
好酸菌
アレルギー発症を抑制するように働いている白血球です。ハウス・ダスト、スギ花粉、ダニ、牛乳などのアレルゲン(抗原)と抗体が結びついた抗原・抗体複合物は、肥満細胞(マストセル)を刺激してヒスタミンを分泌させて、ぜんそく、鼻炎、アトピー、じんましんなどのアレルギー現象を誘発しますが、この抗原・抗体複合物を処理して、アレルギーを防いでくれるのが、好酸球というわけです。
好塩基球
顕微鏡で、白血球を100個数えても1個存在するかしないかというほど少ない細胞なので、あまり研究がなされていないというのが実情です。
しかし、好塩基球内には、ヘパリンを含み、このヘパリンは抗脂血・抗凝固作用を有しているので、この好塩基球こそ、高脂血症や血栓症を予防・治療してくれる白血球ということができます。

こうして、白血球の働きをながめてみると、炎症だけでなく、ガン(腫瘍)、アレルギー疾患、循環器疾患、脳血栓、心筋梗塞などの万病の予防、治癒促進に活躍していることがわかります。

白血球こそ免疫 現象の主役を担っている細胞だということが理解できるでしょう。発熱、入浴、運動などで、体温が上昇すると、白血球の働きが促進されることは種々の研究でつきとめられています。

よって、ほとんどの病気で発熱するのは、この白血球の働きを高め、病気の治癒を促進させるためのメカニズムであると考えられます。

白血球が、正常範囲の4000~8000を超えて、1万個以上になるときは、ほとんどの場合、好中球数の増加が原因です。そのほとんどが、細菌感染症(肺炎、気管支炎、扁桃腺炎など)によりますが、ほかに、肉体的ストレス(痛み、運動、寒冷・暑熱)や精神的ストレスでも増加します。また、ヘビースモーカーの人も血液や体内に有毒物が多くなるので、その掃除のために、好中球(白血球)が増加することがあります。

また、アレルギー性疾患で、好酸球が増加し、そのため、白血球増多を見ることもあります。頻度的には稀ですが、成熟していない、幼若白血球の増加のために、白血球が増加する状態が、血液のガンともいわれる白血病です。

白血球減少(3000以下)の原因もほとんどが好中球の減少で、再生不良性貧血や白血病などの血液疾患や、化学薬品(抗ガン剤、抗生物質、鎮痛・解熱剤、抗甲状腺剤など)で、造血臓器が障害されて好中球が減少することがほとんどです。

また、古くなった白血球は主に牌臓で破壊されるので、肝硬変など牌腫を伴う病気では白血球減少が見られます。白血病では、主に白血球が増加しますが、白血球減少という形で現われてくることもあるので要注意です。

3.さまざまな症例の指標になる血小板

血小板が多すぎる血小板増多症では、血管内で血液が凝固して脳血栓や心筋梗塞をおこしやすくなります。多血症や白血病など、骨髄での血小板の増血過多をおこす病気で血小板増加が見られますが、その他、高脂血症、高タンパク血症、高尿酸血症、高血糖など、過食・運動不足による栄養過剰状態で、血小板が増加し、血管内で血栓をおこしやすくなる傾向があります。

反対に、血小板が少なすぎる血小板減少症では、出血傾向が出てきます。再生不良性貧血や白血病など骨髄の造血障害、血小板減少性紫斑病などの免疫異常、化学薬品による副作用で血小板は減少します。

血清

血清の90%以上が水分で、ほかにも種々の成分が含まれています。

たんぱく質
タンパク質の多寡は、体の栄養状態を表わし、正常範囲の6.5~8.0以下であると、もちろん、栄養低下(失調)が存在することを物語っています。

飢餓をはじめ、ガン、慢性の感染症や炎症など、どんな病気も長引くと、低タンパク血症(6.4以下)になることが多いのですが、もし、8.1以上のタンパクが血中に存在しても、即、栄養状態が良好すぎる、つまり、栄養過剰状態(肥満、肉食過多など) とはいえないのです。

なぜなら、タンパク質は、総タンパクといわれるように、肝臓でつくられ、全身の細胞に栄養素として送り込まれるアルブミンと、体内に炎症(感染症など)、ガンなど病気が発生したとき、それをやっつけるために、リンパ球のB細胞でつくられるグロブリンの2種類があるからです。

健康状態では、アルブミンは、総タンパクの約3分の2を、グロブリンは約3分の1 を占めています。

しかし、何らかの病気があると、病気と闘うためのグロブリンが多くつくられるので、A/G比の値は下がりますし、肝臓ガンをはじめ、肝炎、肝硬変など肝臓病では肝臓でのアルブミンの合成が低下し、A/G比が低下します。A/G比は、体内にどんな病気があっても低下しますし、その値が低いほど、病気が重篤だということを表わしています。A/G比の正常範囲は1.6~.3くらいですが、ガンなど極端に病気が進んでいきますと、0.5以下に下がることさえあります。

私たちが筋肉を動かしたり、脳を使ったりするためのいちばん重要な栄養素が糖です。脳は、その活動の栄養源として、ほぼ100%を糖に依存していますので、60~110mg/dlの正常の血糖値からかなり低くなった低血糖状態では、ふるえ、けいれん、脱力、失神などの脳神経症状を呈してくるわけです。

しかし「過ぎたるは及ばざるが如し」で、過食、運動不足で、血液中の糖分が多すぎる高血糖状態になると、種々の障害が出現します。

糖分は、ばい菌の好餌になるので、肺炎、膀胱炎、皮、ふ炎(かゆみ)、結核などの感染症にかかりやすくなりますし、高血糖は血管壁を傷害するので、網膜症(失明)、腎症(腎不全)、末梢神経炎などにかかりやすくなるわけです。

つまり、網膜や腎臓、神経を養っている血管が高血糖のためにボロボロになるからです。最終的には血液中に糖がだぶつく(高血糖)ばかりで、体内の60兆個の細胞に、栄養素としての糖分が供給されないので、だるさや、食べても食べてもやせてくる、という糖尿病特有の症状が出てくるわけです。

脂肪
糖であれ、脂肪であれ、タンパク質であれ、力ロリ- 源を食べすぎて、運動・労働などで消費しないと、中性脂肪として、体内にたくわえられます。それが、肥満であり、肝臓の細胞内にたくわえられると、脂肪肝ということになります。
コレステロールは、男性ホルモン、女性ホルモンの成分や、消化液である胆汁の成分、また、細胞膜の構成材料ですから、少ないほどよいというものでもありません。

よって、正常 120~220mg/dl以下の低コレステロール血症の人は、血管壁がもろくなり、脳出血をおこしやすいとされています。
もちろん、多すぎは、高脂血症→動脈硬化→脳血栓、心筋梗塞の主因になることは、周知の通りです。

なお、HDLコレステロールは、善玉コレステロールともいわれ、動脈硬化の予防・治療に役立っており、多いほど、動脈硬化の病気になりにくいことを意味します。

ミネラル
ミネラルは、鉱物という意味で、簡単にいうと「土の中の成分」といぅことです。つまり「人間は死ねば土に還る」といわれるのは、このミネラル分が土に還るわけです。

すなわち、体内に含まれるタンパク質、脂肪、糖などの有機物質は、死体が腐乱したり、火葬されたりすると、すべて、C O2( 二酸化炭素) やH2O(水)その他の気体に変化し霧消します。しかし、鉄、亜鉛、カルシウム、マンガン、マグネシウム、銅、カリウム…などのミネラル分は、腐ったり、燃えたりしないで残るわけです。

火葬場で残っている骨や灰こそミネラルです。金属物質だから燃えないわけですし、ミネラルを別名、栄養学の要語で「灰分」という所以でもあります。

ビタミン
ビタミン< は、ラテン語で「生命」という意味です。つまり、微量で生命現象に深くかかわっている物質(栄養素) で、不足すると種々の病気がおこってくるわけです。
酵素
肝臓、すい臓、筋肉など、体内の種々の臓器の細胞内では、いろいろな物質が合成されたり分解されたり、破壊されたりと、物質代謝、新陳代謝が行われています。
こうした化学反応をスムーズに行わせるための触媒的働きをしているのが、酵素なのです。最近の、血液検査による診断の主役は、この酵素といってもよいくらいです。この酵素の多寡で、臓器の病気の診断ができるわけです。主に、肝細胞内にはGOT、GPT、LDH、ALP、LAP、γ-GTPなどの酵素が含まれておりますが、古くなった肝細胞は毎日、自然に壊れているので、その壊れた肝細胞内よりこうした酵素が血液に吸収され、腎臓より排泄されていきます。
よって、血液をとって調べると、こうした酵素は誰にでも、ある程度含まれているわけですが、平均値を超えて過剰に含まれていると、それを含んでいる肝細胞が傷害され、破壊されたということを意味するわけです。
コリンエステラーゼ
コリンエステラーゼは、アルブミンと同様に、肝臓で合成されるので肝細胞の力(機能)を見る指標になります。
アミラーゼ
炭水化物を分解する酵素で、すい臓やだ液腺の細胞に含まれているので、すい炎、すい臓ガンをはじめ、だ液腺の病気で上昇してきます。
CPK
筋肉細胞内に含まれている酵素なので、筋肉の病気(重症筋無力症など)や心筋梗塞で血液中の値が増加してきます。
ホルモン
「ホルモン」は「興奮させる」「呼びさます」というギリシア語に由来しています。「内分泌臓器でつくられて、血液中に分泌される物質で、ごく微量で、ほかの組織、臓器の働きを調節する」という作用があります。
男性ホルモンは、男にヒゲを生えさせ、筋肉や骨格を発達させるし、女性ホルモンは、でん色白で、柔らかい皮ふをつくり、乳腺や腎部に脂肪を蓄積させて女性らしさをつくる、というように、微量ですごい働きをしているわけです。
老廃物(BUN、クレアチニン、尿酸)
BUN尿素チッ素)、クレアチニンともに、体内でエネルギーとして使われたタンパク質の燃えカスです。尿酸は、細胞の核の核酸の成分であるプリン体の最終代謝産物で、細胞核の崩壊によって産生されます。よって、BUN、クレアチニン、尿酸は簡単にいえば、体内の老廃物で、当然腎臓が作りだす尿として排泄されるべきものですが、血液検査で正常値以上存在するときは腎臓の働きが悪いとう診断がつくのです。
非常在タンパク
健常者の血液中には、ふつうは存在しないか、あってもごくわずかしかないタンパク質を非常在タンパクといいます。非常在タンパクには、その量の変化が肺炎やリウマチなど、炎症性疾患のサインとなるCPRなど各種あります。ガンには欠かせない腫瘍マーカーについてです。正常な健康細胞からは産生されず、ガン細胞かからだけつくり出される非常在タンパクを腫瘍マーカーといい、ガンの存在やガンの再発・転移を診断する参考になります。
しかし、腫瘍マーカーは、ガンがある大きさ以上にならないと血液中に出現しないことも多く、また、たとえ出現しても、ほかの良性疾患から産生されることもあるし、腫瘍マーカーが陰性でも、ガンが存在しないという保証はないので、現段階では100% 確実な診断法とはいえません。
ただし、治療前に陽性であった腫癌マーカーが、治療(手術、放射線、抗ガン剤) により陰性化し、それが再び陽性化してくると、X線検査やCT検査、超音波、MRIなどで発見される前にガンの再発・転移が、早期にわかることが多いものです。主な腫瘍マーカーに次のようなものがあります。

  • AFP(αフエトプロテイン)
    原発性肝ガンの約80~90% で陽性、睾丸腫瘍でも出現
  • CEA
    胃・肺・乳・膵臓・大腸ガンで陽性。ただし、糖尿病、肝炎、肝硬変、慢性すい炎、慢性気管支炎、ヘビースモーカーで陽性になることもある。
  • CA19-9
    すい臓ガンの80~90%で陽性
  • PAP(前立腺酸性フォスファターゼ)
    前立腺ガンの約65%で陽性

血沈

血液に抗凝固剤を加えて固まらないようにし、目盛りのついた細いガラス管に入れて垂直にたてるときますが、この速度を血球(主に赤血球)が時間とともに沈んでいきますがこの速度を血沈といいます。

健康な男性で、この赤血球が沈んでいく速度(距離) は10mm以内ですが、何か病気があると、必ず、それ以上の速度で沈んでいきます。

これを血沈の凡進といいます。つまり、急性の炎症でフィブリノーゲンやCRPなどの非常在タンパクが増加しても、また、慢性の病気でγグロブリン(免疫グロブリン)が増加しても血沈は凡進します。また、貧血で赤血球が減少したり、栄養失調やガン、長期の慢性疾患などによる栄養低下(アルブミンの減少)でも凡進します。つまり、血沈はA/G比と同様、どこに病気があるかわからないが、健康か病気かを判別するのには大変貴重な検査なのです。とくに、血沈が50mm以上の場合、自覚症状がなくても、必ず病気にかかっているといってよく、その場合、精密検査が必要です。

AFPの原発性肝ガン、CA19-9のすい臓ガンなど、非常在タンパクの出現、即ガンの診断とされるものはむしろ少なく、血液検査だけから、ガンを診断するのは、なかなか難しいものです。

ガンは発病してから臨床症状が出るまで川10~30年もかかる、超慢性病ですから、まず、貧血が潜在していることが多いようです。

正色素性貧血が存在すると、一応、ガンを疑って精査する必要があります。ガン細胞は、どんどん増殖していくので、ガン細胞の代謝に酸素をかなり必要とするので、どうしてもガン組織の中では酸素不足になりがちになります。

そこで、乳酸が多量に発生します。よって、乳酸を処理するための酵素であるトLDHが上昇してきます。LDHは200~450くらいが正常ですが、これが1000や2000になっていたら、ガンを疑ってかかる必要があります。

また、超慢性病ゆえに栄養失調、つまり肝臓でのアルブミン合成の低下、Bリンパ球でのグロブリン産生の増加によるA/ G比(1.2~2.4が正常)の低下、さらには貧血などすべての不健康因子の出現による血沈の凡進などが、ガンを推測する目安になります。

  1. 貧血(正色素性貧血)
  2. 」LDHの異常高値
  3. A/ G比の低下
  4. 血沈凡進

などが一般検査よりガンを推測する手段ですが、これに、腫瘍マーカーの出現が加わると、ほぼ確実になります。

寿命を左右する検査値の読み方

現代医学の血液検査の意義および、諸検査値の意味するところがおわかりいただけたと思います。

血球や各種の酵素の多寡(この場合、多すぎ)、腫瘍マーカーの出現等も、正常な血液に比べて異なっているので、「血液の汚れ」とも考えることができます。しかし、こうした現代医学的な血液の成分に異常がなくても、漢方でいう瘀血=汚血が存在すること

知らず知らずのうちに血液が汚染されている事を知る反応

人参とリンゴでつくった生ジュースだけを1日9杯(朝・昼・夕に3杯ずつ)飲用してもらい、1週間前後過ごしててもらうという人参・リンゴジュースを中心にした自然療法の保養所があります。

その間、1万人以上の方々が、この生活療法をやりにこられ、血液の汚れを排除し、体調を改善されていかれました。今では、大臣や国会議員の先生方から学生さんまで、いろいろな方がやってこられますが、最近では、お医者さんたちも多数この保養所での生活をやりに見えられます。

生理学上の鉄則として「吸収は排泄を阻害する」というのがあります。つまり、あまりつい食べすぎると、胃腸での吸収のほうに、体の力= 生命力が費やされるため、大・小便をはじめ、排泄のほうに力がまわされず、かえって便秘したり、小水の出が悪くなる、その結果、老廃物がたまるという意味です。

逆は真で、「吸収をやめると、排泄が促進する」ということです。つまり、人参・リンゴジュース療法をして、胃腸に負担をかけないと、吐く息が臭くなる、口内や舌に悪臭を放つ老廃物が潜み出てくる、黒い宿便が出る、発疹が出る人がいます(断食疹)、目ヤニ、鼻くそが大量に出てくる…等々、まさに老廃物排泄のオン・パレードとなります。

口の中からは、ビタミン、ミネラルが存分に含まれる新鮮な生ジュースしかとり入れないのですから、こんな臭くて汚ないものは、体内= 血液内にたまっていたというほかないでしょう。

人参・リンゴジュース療法前後に検査をして、赤血球、白血球、血小板などの血球、脂肪、糖、タンパク、酵素(GOT、GPTなど)、老廃物( 尿素チッ素、クレアチニン、尿酸)等々、現代医学的な血液の状態は全く異常のない人にも、同様の老廃物の排泄現象はおこります。

ということは、現代医学の、あの精密な血液検査によってもなお、把握されていない老廃物が、血液内には存在していることを物語っています。

なぜなら、大便以外の、目ヤニ、鼻くそ、小便、汗、吐く息…などほすべて、血液が変化したものなのですから。

漢方医学でいう「万病一元、血の汚れから生ずる」という思想ほ、まさに、正しく的を射たものといえるのです。現代医学的尺度でいう、血球や血清を調べるという検査法がなかった時代の漢方医学では、血液の汚れ=汚血をどのような方法でとらえていたかということが問題ですが、これこそ、顔色をほじめ、皮ふの表面に表われてくるサインで、「瘀血」の状態を読み取っていたのです。

つまり、現代医学でいう皮ふの表面を流れている血管=静脈の変化で、血の汚れ、血液の滞りを診断していたということになります。

こうした外見上の癖血の所見(他覚所見)が存在する人は、自覚症状としては、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、神経痛などのほか、女性では生理不順、生理痛などを訴えることが多いのです。

瘀血がある人ほ、当然、脳血管系、心臓循環器系のトラブルがおこりやすいことは、容易に推測できるでしょう。最近、「過労死」「突然死」という言葉をよく耳にしますが、突然死する人の70~80%が脳卒中と心筋梗塞であることがわかっています。

また、ある研究報告によると、過労死や突然死した人のはとんどに、死の1週間前から1ケ月前の間に、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、赤ら顔、鼻血、痔出血、など瘀血から来る、いくつかの自覚・他覚症状が見られたといいます。

瘀血は、脳・循環器系の病気以外にも、炎症、腫瘍(ガン)、免疫の異常( アレルギー、自己免疫疾患他)、退行性病変(結石、糖尿病他) など、すべての疾病の原因にもなっているのです。

病気の原因から見落とされていたモノ

東洋医学には「食(物)が血となり、血が肉となる」という思想があります。肉とは、筋肉という意味でほなく、脳、心臓、肺、腎臓、胃腸、肝臓、子宮・卵巣、睾丸、筋肉、骨など各部の臓器と考えてよいでしょう。

つまり、食物が胃腸で消化されて、血液の成分となり、血液が各臓器に栄養を送り届けて養っている、という意味です。

よって、血液の成分にアンバランスが生じると、つまり、血液が汚れると、当然、脳、心臓、肺、胃腸などの臓器に不調や病気が生ずる、というものです。

これが、東洋医学では「万病一元、血の汚れから生ずる」といわれるゆえんです。動物性タンパクや脂肪、高炭水化物の食物を摂りすぎると、高脂血症、高血糖などが生じ血液が汚れます。

また、ビタミンやミネラルの不足した精白食物(白米、自パン、白砂糖) や肉類など部か分食を食べすぎると、ビタミンやミネラル欠乏症、つまりビタミンBl不足=脚気、B2不足= 口内炎、C不足= 壊血病(出血、感染)、カルシウム不足= 骨・歯のぜい弱化・イライラ、亜鉛不足=味覚・嗅覚障害・皮ふ病などを起こします。

つまり、不適切な食物がまた、病気をおこすことがよくわかります。現代医学的には、食物とは直接関係なくおこるとされるウィルス性肝炎(B型、C型など)や炎症疾患(肺炎、胆のう炎、リウマチ性関節炎など) やガンなどでも、GOT・GPTなど血液中の酵素類の増加、CRPや腫瘍マーカーなど非常在タンパクの血液中への出現などが見られ、「血液を汚す」という結果を生んでいます。

つまり、「血液の汚れ」は、病気の原因であり結果でもあるわけです。よって、何らかの病気の結果で、血液が汚れても、また、そのためにほかの疾病を引きおこすことは十分に考えられるわけです。

日常会話でも「血色がいい顔」とか「血の気のない顔色」などという表現がよく使われますが、このことは、医療の専門家ではない一般の人々が、皮ふの表面を流れている血液の色合い(量や質)でもって、ある程度、健康状態を読みとっているということを物語っています。

「紅顔の美少年」は「血色のいい、いかにも健康そうな少年」のことですし、反対に、不健康、つまり病気の人は、「青白い顔色、つまり血の気のない顔色」や「どす黒い、土色の顔色」をしていることが多いものです。今でこそ、血液の成分は、血球(赤血球、白血球、血小板)と、血清(水、タンパク、脂肪、糖)より成りたっており、それぞれがどんな働きをするかもわかっています。

ただし、こうした「科学的な成分」などまったくわかっていなかった 2000 年以上も前の瘀血、つまり、「血の滞り」こそ、万病の原因であると指摘しているのです。

「瘀」は「滞る」という意味です。「瘀血」を現代医学的に解釈すると、静脈血(全身の組織・細胞より、心臓に戻る、老廃物を含んだ血液で、体の表面を流れている)の血行不順ということになります。

川の流れも、よどんで滞ると汚なくなるのと同じように、やがて瘀血は汚血になっていきます。つまり、血液の流れが悪くなると、血液も汚なくなってくるわけです。

現代医学的には、血液中の老廃物で、水にとけるものは腎臓から尿として捨てられるし、揮発するものは肺から呼気として出ていくので、よはどの腎臓病や肺の病気にかかっている人以外は、血液が汚れることほないと考えます。しかし、漢方医学では瘀血=汚血こそ万病の原因と考えるのです。

エゴマの成分に肝ガン抑制効果(日経新聞)

2015年10月25日の日本経済新聞の朝刊に興味深い記事が掲載されていました。「エゴマ成分に肝ガン抑制」という記事で名古屋市立大で発見されたそうです。

近所のスーパーの健康コーナー(レジ近く)にエゴマ油がすごい数陳列されていたので、エゴマの作用が人気なのかなぁ~とは思っていましたが、どうも正解だったようです。

エゴマに含まれる成分が非アルコール性脂肪炎(NASH)や、それに伴う肝細胞の癌化を抑制することをラットの実験から発見し、英科学雑誌電子版に発表したそうです。

NASHの発症や進行は老化などに伴う肝細胞の酸化が変わっていることがわかっており、エゴマの種に多く含まれ、抗酸化作用が強い「ルテオリン」が予防に効くと考えました。

まず、遺伝子操作でガンになりやすくした「老化ラット」を作成。NASHを引き起こす餌を3ヶ月間食べたラットとこの餌にルテオリンを加えた物を同期間食べたラットを比較した場合、NASHの進行が20~30%遅かったというものです。

摂取していないラットに比べて癌化の可能性があ細胞が半分程度しかないことも判明。

エゴマ油などルテオリンを含む食品を日常的に摂取すると予防に役立つ可能性があるということです。

婦人科関連ガンと放射線治療について

「婦人科がん」の中でも「子宮頸がん」では、根治を療法としての「放射線治療」が増えています。

放射線治療

放射放射線治療も選択肢の1つ

がんの「放射線治療」は、がん部分に放射線を照射し、がん細胞の分裂や増殖を止めて、がんを可能なかぎり縮小させ、死滅させる治療法です。
日本のがん治療では、これまで手術が中心でしたが、最近は、放射線治療が有効な治療法の1つとして選択される機会が増えました。

  • 婦人科ガンの放射線治療
    子宮や卵巣など女性器のがんを「婦人科がん」といいます。そのうち、「子宮頸がん」では、根治を目指した放射線治療が行われます。子宮頸がんは、子宮の入り口の部分(子宮頸部) にできるがんで、早期や進行した段階でも、根治を目指した放射線治療が行われます。一方、子宮体部にできる「子宮体がん」では、がんに対する放射線治療の効き目がどうしても弱いため、一般的に根治療法としては手術が選択されます。放射線治療は術後の補助療法として行われることがあります。なお、「卵巣がん」に対しては、主に手術と化学療法が行われ、放射線治療はあまり行われません。
  • 放射線療法の方法
    婦人科がんの放射線治療の方法は、次の2つに分けられます。ひとつは外部照射で体の外の離れた所から、病巣部を中心に照準を合わせて放射線を照射します。がん周囲の組織やリンパ節に広がる、目に見えない転移もたたく目的で、やや広い範囲に照射されます。ふたつめが小線源治療で放射線を出す特殊な物質(ラジオアイソトープ)を入れた小さな金属製のカプセル(線源)を病巣部の中や近くに置き、体の内側から放射線を当てる治療法です。がんに集中的に放射線を照射することができます。子宮や膣のように内腔のある臓器の場合は、臓器の中に特殊な器具を挿入して、あとから線源を送り込んで治療を行います。

子宮ガンの治療

手術・放射線治療の比較

早期がんの治療

ごく早期の段階では、子宮頸部の一部、一方のグループには放射線治療を行い、その後の生存率を比較したところ、両者で生存率にまったく差がないという研究結果がヨーロッパで報告されました。その結果も踏まえ、最近では、手術が可能な早期がんでも、子宮を摘出する手術と並び、根治を目指す放射線治療が選択肢の1つになつてきています。

  • 進行ガンの治療
    進行した段階や、早期がんでも病巣が大きい場合には、放射線治療に化学療法(抗がん剤)を併用する「化学放射線療法」が注目され、最近我が国でも広く行われつつあります。アメリカでの研究では、放射線治療を単独で行うのと比べて、化学療法を併用すると生存率が2~3割改善することが報告されています。抗がん剤は「シスプラチン」がよく用いられます。抗がん剤には、がんに対する放射線の効き目を高め、さらに目に見えない転移したがん細胞をたたくことも期待されます。
  • 治療法の選択
    手術と放射線治療のどちらを選択するか、両者の長所と短所をよく比較して、検討する必要があります。手術には、「卵巣を温存できる可能性がある」という長所がありますが、「体への負担が少なくない」「骨盤内のリンパ節を切除すると、足のむくみが起こることがあるという短所があります。
    さらに術後に補助療法として放射線治療を受けると、リンパ浮腫の起こる確率は高くなります。一方、放射線治療では、「体への負担が少ないため、高齢者や合併症のある人でも安全に治療が受けられる」「リンパ浮腫が起こりにくい」などの長所があります。しかし、短所として「卵巣にも放射藤が当たり卵巣の機能を失うため、閉経前の人では更年期障害のような症状が起こる」ことがあります。
  • 放射線治療の実際
    外部照射と腔内照射を組み合わせ、およそ7~8週間で行われます。外部照射はm、少ない量(薬2Gy)の放射線を約5日間、毎日、合計25~30回行います。腔内照射は、多めの量(5~7Gy) の放射線を週1~2回、合計3~5回行います。化学放射線療法では、これに週1回、合計5~6回の化学療法を並行して行うのが一般的です。
  • 放射線治療の副作用
    放射線治療の副作用は、治療中に起こる急性期の副作用と、治療の半年から数年後に起こることがある晩発性の副作用(後遺症)とに分けられます。急性期の副作用には「だるさ」「吐き気」「下痢」などがあります。これらは治療が終わると改善します。放射線治療を受けたあとは、後遺症の有無をチェックするためにも定期的な受診が必要です。気になる症状があれば、担当医に相談することが大切です。日常生活では特に食事や排便(便秘をしない) に注意します。食物繊維を多く含む食べ物は消化されにくく、逆に腸に負担がかかるので、食べすぎないようにします。
  • 外陰がん、膣がんの放射線治療
    婦人科がんのうち、外陰がんは約3 %膣がんは約1%と、いずれもまれながんといわれています。これらは、臓器の形や位置から、また、患者さんに高齢者が多いことから手術が難しく、以前から放射線治療が行われてきました。主に外部照射が行われますが、膣がんでは、腔内照射が行われることもあります。