乳がんのサインを見逃さないための自己検診

日本ではマンモグラフィによる乳がん検診が普及してはいますが、お風呂で体を洗っていたときや、たまたま胸に手が触れたときなどに、自分自身で異変に気がついて乳がんだった、というケースが多いのが事実です。乳がんの症状を知って、普段から自分の乳房に関心を持っておくことが大切だといえます。そして、異変を感じたら迷わず専門医を受診しましょう。

しこりが早期発見の手がかりとなる

乳がんの最も重要な兆候は『しこり』で、乳がんの人の全体の8割以上でしこりが触れます。このように、乳がんを自分で発見するときの大きな手がかりは、しこりなのです。
そのしこりを見つけるための一番の方法は、入浴のときに自分で乳房に触れることです。胸に石けんをつけて、乳房の表面を指をすべらせるように、くまなく触ります。右手で左の乳房を、左手で右の乳房を、指先や手のひらで、なでるようにします。石けんがついていると手がすべりやすくなり、しこりがあった場合に見つけやすくなるのです。乳房を中心に、脇の下から鎖骨の辺りまで、胸全体の広い範囲を、指先と手のひらに神経を集中させて、ゆっくり触ってみましょう。

しこりは、石のようにころっとしたものだけではなく、扁平な塊だったり、乳頭に向かって扇状に触れるものなどもあり、さまざまです。境も、はっきりとわかるものは少なく、なんとなく全体が硬い感じのものもあります。このように、一概にしこりといっても、形や大きさは人それぞれに違うということを覚えておきましょう。また、乳がんには、しこりのない乳がんもあります。

触るだけではなく見ることも大切

乳房は、ふくらみの中にやわらかい乳腺と脂肪が詰まって形がつくられています。表面の皮膚はなめらかな曲面となっていますが、乳がんができると、この曲面が変形します。乳房の形のゆがみ、ひきつれ、くぼみなど、乳房の表面に生じる変形を見逃さないようにしましょう。こうした変化がないかを目で見ることも大切です。
入浴のときなどに、鏡の前に立ち、まずは腕を下ろした状態で、乳房や乳頭の形に異常がないかを観察します。続けて、今度は腕を上げて同じように観察をします。

乳房の皮膚の変化に注意する

えくぼのような乳房の皮膚のくぼみを「えくぼサイン」と呼びます。皮膚につながっているクーパーじんたいが、がん細胞によって内側から引っ張られることで生じます。えくぼサインは乳がんを発見する重要なサインですが、特殊な乳腺症などでもできることがあります。
がんがもう少し進行すると、変形がかたまってきます。これが乳房のひきつれです。乳房の曲面に、不自然な皮膚のひきつれが生じます。このひきつれは、がんでない限りできるものではないので、気づいたらすぐに専門医を受診しましょう。

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