血液の汚れをもたらす、直接的な原因のひとつである、食生活とガンの関係についてです。
昭和20(1945)年第2次大戦が終わり、日本が経済的にだんだんと豊かになっていき、日常の食生活の中の、肉、卵、牛乳、バター、マヨネーズなど欧米食の比率が高まり、それと反比例するように、米、ジャガ芋、サツマ芋など従来の日本食が少なくなるとともに、日本人がかかる病気のタイプも変わってきました。
脳卒中も脳出血が減って脳梗塞が急激に増加し、それまではとんど存在しなかった欧米人の死因のトップの心筋梗塞が激増し、ガンも、胃ガン、子宮頸がんという日本人に多かったガンは激減していき、肺、大腸、乳、卵巣、子宮体、前立腺、すい臓、腎臓、食道ガンなど欧米人に多いガンが急増してきたのです。
ほかに、糖尿病、痛風、胆石……など、ガン、心筋梗塞、脳卒中など三大成人病のみならず、すべての病気の型が欧米化し、また、病気の数も増えてきました。
欧米食とか病気の欧米化というものの、アメリカにおける食生活も 9 10年を基点にすると、乳製品、卵、肉瑛の摂取が増加し、穀物や芋叛の摂取が激減しています。
その結果、胃ガン、子宮頸がんが減少し、肺ガン、乳ガン、大腸ガン、前立腺ガン、すい臓ガンなど、いわゆる欧米型のガンが著増したわけです。
それを端的に表わしたグラフがに示される乳ガンと大腸ガンの国別羅患率です。縦軸が、その国の国民一人当たりの1日の動物性タンパク質の摂取量で、横軸がその国の年間の、人口10万人当たりの乳ガンや大腸ガンの死亡数です。
動物性タンパク質を動物性脂肪に置きかえても同じグラフができます。このグラフは、じつはWHOが、昭和29( 1954)年に発表したグラフなので、日本は、最下位に位置していますが、今は、動物性タンパク質の摂取がうんと多くなっており、乳ガンや大腸ガンの死亡数もギリシアのところまで上昇しています。
このまま、動物性食品の摂取増加が進むと、この直線上を、どんどん右上がりにかけ登っていくということをも同時に表わしているわけです。
こうした図表から見ると、血液を汚し、ガンをつくりやすくする食べ物は、肉、卵、牛乳に代表される欧米食ということになります。
昭和50(1975)年のガンによる死亡数は13万6000人であったのに、平成10(1998)年のそれは、28万人を超えており、わずか20余年で2倍にも増え日本人の死因の断然1位を占めています。西暦2010 年には、ガン死は50万人になると予想されており、実に3人に2人がガンで死ぬ時代がくるとされています。
いちじるしく発達した現代医学と優秀な現代医学者が、莫大なお金と労力を費やしながら、ガン研究にとりくんでいるのにもかかわらず、それをあざ笑うかのように、ガン死があらわ激増している現実。「医者が末期ガン患者になってわかったこと」のベストセラーを著された岩田博士は、ご自分の専門の脳性腫瘍で亡くなられましたが、ガンの専門医が、ガンで死ぬということもよく聞きます。
こう考えると、「ガン」に対する考え方のコペルニクス的大転回が必要なのでほないでしょうか。肉(器官)でおきた末梢の現象であるガン腫をいくら研究しても、いくら抹殺してもむだであり、肉を養っている血液について、また、血液の素になっている食物の重要性について現代医学は気づかねばならない時期に釆ているのではないでしょうか。
さて、人間の歯を見てください。全部で32本のうち20本(20/32 =62.5% )が、臼歯です。
臼歯、つまり「うすの歯」は、穀物を食べるべき歯という意味です。残りの8本(8/32 =25%)が門歯で野菜やくだものをガプリと食べる歯ですし、あとの4 本( 4 /32 =12.5%)が犬歯で、魚、魚介、肉煩を食べる歯ということになります。
つまり、人間の歯は、穀物を中心に、野菜、くだもの、豆類、海藻を従とし、魚介類、肉類を少量食べるべきだ、ということを主張しています。
米国上院の「栄養改善委員会」が、米国の医者と栄養学者に命じて全世界の栄養状態と08病気の羅患率を調べさせた結果、1977 年に発表された米国民に向けた「 栄養の目標」は、あまりにも有名です。
それまで自分たちの食生活が、ベストに近いと信じていた米国人ほ、マクガバン上院議員が、「我々は、馬鹿だった。これまで、造病食、殺人食を食べていた」と涙ながらに発表した「栄養の目標」に、ショックを受けたのですが、この後の10年で、米国人の死因の断然1位だった心筋梗塞をはじめ、ガン、脳卒中などの生活習慣病による死亡が減少していったのは有名な事実です。
「炭水化物の摂取量を1日のエネルギー摂取量の55~60% になるように増やしなさい」ということは、人間の歯32本のうち20本が臼歯、つまり20/32 =62.5% は穀物を食べるべきだと主張している事実と符号するからです。
ガン予防のための習慣