これほどガンが増加している背景には、さまざまな要因が影響しているのですが、現代医学では、「活性酸素」こそが、がんをはじめとした、成人病の主たる原因であると考えられています。
活性酸素とは、酸化作用の強い酸素のことで、過剰に発生すると、体内の細胞や遺伝子がサビつき、それが発症の原因になるのです。もちろん、私たちの体には活性酸素の毒を中和する機能があります。しかし、年をとるにつれてこの機能は弱っていきます。
これを少しでも抑えるためには、食べ物によって、活性酸素の害を防ぐことができます。その代表格ともいえるのが、βカロチンを多く含む緑黄色野菜です。
βカロチンには、活性酸素を消去する抗酸化作用があります。
βカロチンを多く含むニンジンなどが、がん予防に効果があるといわれるのは、こうした理由からです。ところが、最近の研究によって、βカロチンよりもさらに強力な抗酸化力を持つ成分が、トマトに含まれていることがわかりました。それが、リコピンです。
リコピンとは、トマトの赤い色素成分のことです。これまでは、あまり注目されませんでした。
数年前、ドイの大学の研究により、リコピンにも抗酸化作舶用があることがあかりました。しかも、それはβカロチンの約2倍という、とても強い抗酸化力です。
それ以来、リコピンの研究が盛んに行われるようになりした。
ここでは、リコピンのすぐれた効果を証明する、2つの研究成果を紹介しましょう。
ひとつ目は、排気ガスやタバコの煙に含まれる、二酸化窒素ラジカルは、発がん性の高い活性酸素です。
この二酸化窒素ラジカルを、動物の体内で発生させると、細胞膜は酸化し、細胞は死滅していきます。
ところが、βカロチンを同時に与えると細胞死の割合は3分の1程度に、さらに、βカロチンのかわりにリコピンを与えると、驚くことに細胞死は約8分の1にまで抑制できたのです。
もうひとつの研究は、リコピンはβカロチンの10分の1の濃度で、肺のがん細胞の増殖を抑えられるとあります。こうしてみると、リコピンは肺がんに有効なことがわかりますが、最近、前立腺がんの予防効果もあることが確認されました。
アメリカの大学では、40~75才までの男性4万7000人を6年間追跡しています。それによると、トマト料理を過去に10回以上食べる人は、食べない人にくらべて、約45%もがんになる危険性は減っていたという結果が出ています。
また、トマトにはリコピンのほかにも、がんの予防に有効な成分が含まれています。たとえば、抗酸化作用のあるβカロチンや、ビタミンA 、C 、E 。そのほか、抗がん作用があるミネラルのセレン(セレニウム)、大腸がんを予防する食物繊維・ペクチンもそうです。
トマトはリコピンを主として、さまぎまな制がん作用を持つ野菜といえます。リコピンの含有量の点では、生のトマトより、トマトジュースやトマトケチャップといった加工品のほうが多くなります。
というのは、加工品の場合、真っ赤な完熟トマトが使われるので、必然的に赤の色素成分であるリコピンの量も多くなるのです。
では、トマトを1日にどの程度食べれば、がん予防になるのでしょうか。目安としては、生のトマトなら大きいものなら1個、中程度のものなら2個。トマトジュースなら1缶です。
なお、リコピンは熱にも比較的強いので、野菜のトマト煮や、トマトソースのスパゲッティとして食べても、がん予防には有効です。また、旬のトマトを食べたほうが効果があるので夏のトマトをしっかりと食べるのがおすすめです。
こうしたリコピンの優れた作用を利用して血圧をさげるトクホの商品「ライオンのトマト酢生活」も好評です。
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