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リンパ節転移を調べる

ある程度はっきりしたリンパ節転移は、リンパ節が大きく腫れているため、CTやMRTでの検査の段階でわかります。もちろん、確定診断のためには手術のとき採取してから、病理検査にかけ、その結果によらねばなりません。

開腹手術中に行う迅速生検という病理検査の方法では、手術中に転移の有無が分かります。このため、腹腔鏡下手術を行っている場合でも、リンパ節に転移しているとわかった場合は、開腹手術に切り替えて、広い範囲の郭涌を行う場合もあります。

がん細胞がリンパ管を通ってリンパ節に転移する場合、がんに近いところから遠くへ離れるに従い、1群リンパ節、2群リンパ節、群リンパ節、4群リンパ節(腹部大動脈周辺や、頚部など腹部以外のリンパ節) と範囲を分けます。

1群リンパ節を完全に郭消するためには、2群リンパ節まで、2群リンパ節までを完全に郭消するには3群リンパ節までというように郭清していきます。

ガンの進行度を測定する基準

ガンの進行度を検査する

病期(ステージ)分類日本でのスタンダードな分け方

日本の場合、胃がんの進行度はステージという方法で示されます。以下の表は「病期分類( ステージング)」という、胃癌研究会による分類方法です。胃がんの全体の進行具合がひとめでわかるため紹介します。
医師ががんの説明をするときは、おもにこの表を使います。たとえば、粘膜下層がん( SMがん)のように、深達度が浅い場合、転移がなければ「ステージⅠ」です。
しかし、転移があると予後(病気の経過や病後の見通し)が悪くなります。リンパ節への転移が第3群まであると、治癒率は低くなります。
逆に、深達度が渠膜がんンパ節への転移がなければ、「ステージⅡ」となります。
せ界共通の分け方国際的には、TMN分類という方法が使われています。「ステージⅣ」まで跳ね上が治癒率は低くなります。

ガンステージ

胃がんのステージ(病期)分類

  • IA
    ガンの浸潤は粘膜内(m)または粘膜下層(sm)にとどまる。リンパ転移なし。
  • IB
    ガンの浸潤はsmにとどまるが、リンパ節転移は第1群まで。もしくはガンの浸潤が固有節層(mp)が漿膜下層(ss)まででとどまり、リンパ節転移がない。

  • ガンの浸潤がmまたはsmにとどまるが、リンパ節転移は第2群まで。ガンの浸潤がmpかssまでのものは、リンパ節転移は第1群まで。ガンは漿膜(se)まで浸潤しているがリンパ節転移はない。
  • ⅢA
    ガンの浸潤はmpかssまでで、リンパ節転移は第2群まで。ガンはseまで浸潤しているが、リンパ節転移は第1群まで。ガンが直接ほかの臓器まで浸潤していてもリンパ節転移がない。

  • 肝臓転移を認める、漿膜転移を認める、腹腔の細胞診でガン細胞が認められる。その他の遠隔臓器に転移を認める。第3群リンパ節に転移を認める。このどれかに該当する。

TMN分類

ステージ分類とともに、患者さんへの説明にしばしば傭う国際的な分類です。専門用語が多いですが、医師の説明を確認するのに便利なので紹介します。

T分類(胃壁深達度)

  • T1
    ガンの浸潤が粘膜(m)または粘膜下層(sm)にとどまるもの
  • T2
    ガンの浸潤が漿膜下層を超えているが、固有筋層(mp)または漿膜下層(ss)にとどまるもの
  • T3
    ガンの浸潤が漿膜下層を超えて漿膜に接しているか、またはこれを破って腹腔に露出しているもの(se)
  • T4
    がんの浸潤が直接他の臓器まで及ぶもの(si)

N分類

  • N0
    リンパ節転移がない
  • N1
    第1群リンパ節のみに転移を認める
  • N2
    第2群リンパ節まで転移を認める
  • N3
    第3群リンパ節まで転移を認める
  • NX
    リンパ節転移の程度が不明

M分類(遠隔転移)

  • M0
    肝転移、腹膜転移および腹腔細胞診陽性以外の遠隔転移を認めない
  • M1
    肝転移、月割莫転移および腹腔細胞診陽性以外の遠隔転移を認める
  • MX
    遠隔転移の有無が不明

H 分類(肝転移)

  • H0
    肝転移を認めない
  • H1
    肝転移を認める
  • HX
    肝転移の有無が不明

P分類(腹膜転移)

  • P0
    腹膜転移を認めない
  • P1
    腹膜転移を認める
  • PX
    腹膜転移の有無が不明

CY分類(腹腔細胞診)

  • CY0
    腔細胞診でがん細胞を認めない
  • CY1
    腔細胞診でがん細胞を認める
  • CYMX
    腔細胞診を行っていない

病院での精密検査(1)

上部消化管造影X線検査で胃がんの疑いがあった場合は、病院では診察(問診・視診・聴診・直腸視診)と胃内視鏡を受けます。検査の内容は具体的には以下のとおりです。

問診では、次のような質問をしながら、症状の様子や経過を把握します。

  1. いつごろから、どのような症状がありますか。自分の思った通りに言って下さい。ときどき、来院前に家庭用の医学書やネットなどで情報収集してからなのか、「心か部(胸骨の真下・みぞおちのところ) が痛くて」などという専門的な言葉を使う方がおられますが、痛みの場所を正確に知るためにも自分が感じる症状を言葉で表現したほうがよいでしょう。
  2. 症状はだんだん強くなってきましたか。痛みは繰り返し起こりますか。
  3. 腹部の症状だけでなく、腰痛や背中の痛みなどの症状はありますか。(これらは鑑別診断するために必要な事柄です。膵臓の疾患であれば、胃のあたりが痛むだけでなく、左側の背中や肩に痛みが広がります。胆石症(胆石症はこちら)であれば、あばら骨の下や右側の背中、肩に痛みが広がります)
  4. 最近、めまいや貧血などはありますか。(長期間、胃粘膜から出血している場合、慢性的な貧血やめまいが起こります)
  5. 排便の状態について、たとえば色は赤いですか、黒いですか。便秘や下痢などはしていませんか。(食欲がなくなると、胃腸のぜん動運動も起こらなくなり、便秘や不快な感じがします。軟便が出ることもあります)
  6. 食欲や晴好の変化はありませんか。たとえば、食べる量が減った、酒が飲めなくなった、甘いものが苦手になった、刺激物が食べられなくなった、などはどうですか。(胃粘膜が刺激されるため、胃が刺激の少ないものを要求します。また、牛乳が飲みたくなったり、苦いものを食べたくなったりと、胃液を薄めるようなことをしたくなります)
  7. 体のだるさはありませんか。(体が異常を訴える危険信号です)

視診

視診では、病気によって顔色が変わっていないか、貧血や黄痘、脱水症状は出ていないかを確認します。脱水症状があると、唇がかさかさしていたり、目が乾いていたり、ほおがこけたりしています。正確な顔色を見るために、女性は化粧をしないで、診察を受けることが大切です。

触診

体のむくみ、胸や腹部に張りやしこりはないかを確認します。このとき、腹にに力が入っていると、筋肉の下の臓器がわかりにくいため、リラックスして力を抜いてください。

聴診

胃腸の動きを知らせる音で、正常か異常かを判断する方法です。聴診器を当てているときには、医師に話しかけたり、動いたりしないよう注意してください。

血液検査

血液検査は検診のときにおこないますが、病院でも再検査します。鉄欠乏性貧血や腫癌マーカーのほか、B型、C型肝炎やエイズウィルスに感染していないかどうかも調べます。今後の精密検査を安全に受けていただくための検査で、外部へ漏らすことはありません。

直腸指診

ゴムサックをつけた指を肛門から入れて、指についた便の性状をみます。便に出血があると黒くなり、タール便になることもあります。
胃がんの場合でも、進行すると腹膜に転移を起こし、腫瘍が直腸を圧迫して狭窄することがあり、これを診断するためにも行います。
女性にとっては、はずかしいと感じるかもしれませんが、現在ではそんな気持ちに配慮した病院が増えています。
女性患者だけの診察日をつくっている病院や、女性医師が検査をする日を設定している病院もあります。このため、自分で肛門から指を入れて確認することは絶対にやめてください。爪や指で直腸を傷つけてしまいます。

食道・胃・十二指腸内検査

口から内視鏡を入れて、胃粘膜の状態をモニターテレビに詳しく映し出す検査です。胃粘膜の色調の変化はもちろん、胃壁にへこみなどの潰瘍状の変化や隆起したポリープはできていないか、出血はないか、を診察します。
患者さんもモニターテレビを見ながら、医師の説明を聞くことができます。内視鏡は、やわらかいホースのような検査器具で、先端に米粒状の光源や超小型カメラなどがついています。
90年代初めまでは、ファイバースコープという光ファイバーを利用するカメラを使っていました。現在は、ビデオエンドスコープという高精度・高感度なデジタルカメラを用いています。視野が広くなり、細部まで病変を観察できるようになったため、早期胃がんの発見に大きく貢献しています。
あやしい病変かんしがあれば内視鏡に装備されている小さな孔を通して紺子を挿入し、組織の一部を採取して病理検査に回します(直視下生検)。
また、検査中にポリープが見つかった場合、スネア紺子というものを挿入し、切除することもできます。ポリープを切除した場合は、検査日だけ、安全のために入院していただいています。検査当日に切除を希望されない方は、後日、再度内視鏡を挿入して切除することになります。検査方法は次のとおりです。

検査前

内視鏡検査中、胃にポリープが見つかり、その場での切除を希望する場合は、ふだん飲んでいる薬について確認しなければなりません。
手術には出血がともなうからです。

脳梗塞、心筋棟塞、狭心症の治療薬や予防薬で、血が止まりにくい薬(たとえばワーファリン、バファリン、パナルジンなど) を飲んでいる人は、検査7日前から服用を中止します。

緑内障の治療を受けている方は、検査で使う薬が眼圧を上昇させます。事前に申し出て、薬を変えてもらいましょう。

胃内視鏡検査は通常は危険なく安全に受けられる検査ではありますが、高度の心臓病や高血圧などの患者さんにはできない場合もありますので、心臓疾患や高血圧などがある人は事前に必ず病院へ申し出てください。

前日は、胃に食べ物が残らないように、夜9時までには夕食をすませてください。夜遅くまで食事をしたり酒を飲んでいたりすると、胃を休める時間がないため、翌朝の検査中に胃粘膜から胃液が多く出てしまいます。胃のむくみも出ます。その結果、胃粘膜組織の細かい部分を観察することができず、早期がんを発見することもできなくなります。

検査当日

検査当日は注射薬などを使用します。運転に影響が出るため、車での来院はできません。検査直前には消化管ガス排除剤を服用してもらいます。
これは消化管粘膜の上にある粘液の泡を除去して内視鏡検査をしやすくする目的で使用します。
内視鏡を消化管に挿入してから、内硯鏡の処置用ノズルから注入することもあります。内視鏡を飲み込むときに、多少痛みがあったり、飲み込みにくくくて苦しい場合もあります。

のどに麻酔薬のスプレーを噴霧することで対処します。検査時間は15分~20分程度です。内視鏡検査では、まれに胃に穴があいてしまう(穿孔という)ことがあります。検査中に異常が起こったら、緊急手術が必要なことがありますので、検査前には必ず承諾書にサインしてもらいます。
承諾書には次のようなことが書いてあります。ポリープの切除を希望するか。ポリープの切除時に、胃内からの出血や胃穿孔の危険性があります。その場合は緊急手術をします。

検査による合併症

内視鏡検査では、ごくまれにですが穿孔(粘膜に穴が開いてしまうこと)や大出血を起こすことがあります。とくに、食道や十二指腸を観察する検査では、臓器が狭いためカメラを少し動かしすぎただけで穿孔を起こすことも考えられます。

胃の場合は臓器が大きいため、あまり見られませんが、潰瘍病変のある人の検査の場合は、カメラで病変をこすることがないようなど慎重に検査を進めます。

検査後は食道・胃・十二指腸に異常が起こっていないか確認しますが、もし帰宅後に腹痛が起こつたら、すぐに検査を受けた病院に連絡しましょう。また、がんの組織を病理検査で詳しく調べるために細胞を採取した場合、検査当日から4、5日間は飲酒を控えてください。
細胞を採取するということは、粘膜の保護膜としての働きがなくなるため、粘膜がむきだしになります。アルコールの刺激は、ビール程度でもかなり強いため、ひどくただれた潰瘍をつくる原因になります。このため、粘膜が新しい細胞に覆われるまでは、刺激物を飲んだり食べたりしないようにしてください。

胸部単純X線撮影検査(腹部を透視して確認)

レントゲン撮影です。胃レントゲン検査は、食道から胃・十二指腸まで全体の観察ができます。また、安全で、比較的苦痛もなく受けられるので、査として広く行われています。

X線CT検査(病変を輪切りにして撮影)

CTとMRIは、胃の病変の進行状態を調べるために必要な検査です。リンパ節転移の有無や、胃の周囲の臓器である肝臓や膵臓への転移・がん浸潤を調べます。
CT検査では、病変部の臓器を輪切り状にした写由具を撮影し、コンピュータで画像処理して断層写莫をつくります。この検査では造影剤( ヨード剤) を使用しますが、薬物アレルギーレルギーのある方は検査できないことがあるため、病院へ申し出てください。

MRI検査(病変部を多角的に観察)

CTでは体や臓器を輪切り状にして撮影しますが、MRIIでは縦横斜めから画像を撮ることができます。とくに、MRIでは写異に映っている影が腫瘍なのか、炎症なのかを見極めることはできます。また、がんだけを詳しく観察できるような画像をつくることができます。
なお、MRI検査では、心臓にペースメーカーを入れている方は検査できません。CTでもMRIでも腫瘍の広がりがどこまで進んでいるのか、ついて、および転移の有無を確認します。