がんの末期で一番苦しいのは痛みだということですが、最近は転げまわるほど痛いということはなくなったと聞きましがどうなんでしょうか?
がんの腫瘍が大きくなっていくと、他の臓器や神経に直接侵入するため痛みを感じることがあります。末期がんでは、激しい痛みが1日中続くこともあります。
ただし、すべての末期がんの患者さんに痛みがあるわけではありません。このような痛みに対して、初めはアスピリンなどの非麻薬系鎮痛剤(非オピオイド系) を処方します。非麻薬系鎮痛剤は末梢神経だけに効果が出るようにつくられています。
さらに痛みが激しくなった場合、最近では麻薬系(オピオイド系) のモルヒネを処方できるようになりました。麻薬系鎮痛剤は中枢神経に直接働き、強力な鎮静作用をもたらします。
副作用として便秘、吐き気、めまい、意識の低下、脱力感をもたらすことがありますが、正しい使い方と、副作用対策をきめ細かに行うことができます。正しく痛み止めの薬を使うことによって、痛みからは完全に解放されます。このため、昔のイメージのように「痛い、苦しい」といいながら亡くなっていく患者さんは減ってきています。
日本では、長年麻薬系鎮痛剤の処方は厳しい管理下に置かれていました。しかし、1986年にWHO(世界保健機関)が「WHO方式がん疼痛治療法」という治療のガイドラインを発表したことがきっかけになり、日本でも治療に用いられるようになりました