一般的に消化器系器官のがん(胃がん、肝臓がん、結腸がん、小腸がんなど) では、放射線療法の治療効果が出にくいため、あまり用いられていません。
特に胃がんかは、放射線が効きにくい(専門的には「放射線感受性が低い」といいます) がんなのです。
また、胃がんや膵臓がんでは、照射の角度をくふうしても隣接する肝臓にもかかってしまい、ダメージが大きいため、原発巣(胃や膵臓) に放射線をかける治療法を選ぶことはありません。
ただし骨に転移したときには、痛みを軽減させるために放射線療法を取ることもあります。骨に転移すると、激痛が起こりますが、そこに放射線をかけると細胞を死滅させることができるからです。消化器系器官でも食道がんや直腸がんに関しては、放射線がよく効いて腫瘍が小さくなるという効果が明らかになっています。
「腺がん」や「扁平上皮がん」とタイプが分かれるのは、がんの発生する部位が異なるからです。食道がんでは原発巣にも転移巣にも有効ですが、直腸がんでは骨盤内で再発した場合に効果があります。
なお、「放射線治療をすると新しいがん(二次がん) ができるのではないか」とよく質問されます。確かに理論的には可能性もあり、実例も出ています。しかし、実際には極めてまれなため、放射線を治療に使うことについての問題はないと考えられています。
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