「らっきょう」の3大成人病抑制効果

日本人の3大成人病といえば、「がん」「脳血管疾患(血栓症)」「心臓病」です。こうした病気は、自分には関係ないと思っている人がほとんどですが、知らず知らずのうちに進行しますから、いま健康に不安がないという人でも、油断は禁物です。そして、割合的には、こられの3大成人病で亡くなるほうが確率としては高いのです。

これらの病気は、予防が肝心なのですが、といっても特別なことが必要なわけではありません。身近なところでは、「ラッキョウ」などで手軽に、生活習慣病(成人病) を予防することができます。ラッキョウというと、カレーライスのつけ合わせ程度にしか思われないかもしれませんが、じつはすぐれた薬効が詰まっていることがわかってきました。
中国には「傷寒論」と並んで「金匱要略」という漢方薬の古典がありますが、これによると、らっきょうは胸痺に効くと記されています。
胸痺とは、狭心症をさします。ご存じのように、狭心症は心臓の血管が細くなって起こる病気のことで、悪化すると心筋梗塞の危険性も高まります。狭心症や心筋梗塞といった心臓病は、何らかの原因で血液の粘度が増し、心臓の冠状動脈(心臓に血液を運ぶ血管) に血栓(血のかたまり〉ができ、血管が詰まってしまうことが原因で起こります。
また、心臓だけでなく、脳の血管内に血栓ができて詰まれば、脳血栓症という脳卒中を引き起こしてしまいます。つまり、血栓を防止することこそが、心臓病や脳血栓症の予防になるのです。そして、ラッキョウには血液の流れをサラサラにして、血栓をできにくくする作用があります。

血栓防止だけでなく、ラッキョウはがんにも有効です。これまでにも、動物実験などにより、複数のがんに効果を示すことが確認されています。

肺がんに関する実験を紹介します。マウスに薬物を投与し、肺がんが発生するようにしました。そのマウスに、ラッキョウを含む漢方薬を与えたグループと、与えないグループとを比較し、肺がんの発生率を調べてみたのです。らっきょうの成分を含む漢方薬としては、括呂薤白白酒湯(かろうがいはくはくしゅとう)を使っています。

括呂薤白白酒湯(かろうがいはくはくしゅとう)という漢方薬は、もともと狭心症の薬として使われています。

さて、実験結果ですが、括呂薤白白酒湯(かろうがいはくはくしゅとう)を与えないマウス群では、肺の腫瘍発生率は、当然のごとく100% 。マウス1匹あたりの平均腫瘍数は8.43個でした。
一方、括呂薤白白酒湯(かろうがいはくはくしゅとう)を与えたマウス群では、驚くことに、肺に腫瘍が発生したのは73% 、平均腫瘍数は2.5個でした。この実験結果から、ラッキョウには肺がんの発生を抑える働きがあるといえます。
また、皮膚がんに関しても、ラッキョウには強力な抑制作用があることが実験によって証明されています。
こうした効果は、ラッキョウに含まれるサポニンという特殊な成分と、イソリクエチゲニンによるものだと考えられていますが、いまのところ、はっきりしたことは、わかっていません。
そして最近になり、大腸がんにも有効なことが確認されています。大腸がんは食生活の欧米化に伴い、ここ数年、日本人に急激に増加傾向にあります。食生活が動物性食品など高カロリー食に偏ると、腸内細菌のバランスが崩れたり、腸内で炎症が起きるなどして、大腸がんの原因をつくってしまうためです。動物性食品の過剰摂取などは控えるなどの食習慣の改善も同時に行わなければなりまえs

ラッキョウには、イソリクエチゲニンという化合物が含まれており、これが腸内環境を整えて、がんの発生を抑えてくれるのです。
イソリクエチゲニンにはすぐれた抗酸化作用(がんの発生原因となる活性酸素を抑える働き) もあり、これもがん抑制に多いに役立っていると考えられています。
このように、心臓病、脳血栓症のほか、ラッキョウは肺がん、皮膚がん、大腸がんの予防にも有効だといえます。1日に3個程度食べれば、こうした予防効果は十分期待できます。ただ、殺菌作用が強いため、食べすぎると胃に悪いので、食べ過ぎには注意します。

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