ニンニクには、独特の香りや味にクセがありますが、ガンに対する有効成分含まれます。ニンニクは、味、香りともに日本人に好まれる味です。元気がないときでもあのニンニクの香りをかぐと食欲がでてきたりします。
ニンニクやタマネギ、ラッキョウなどのネギ頬は、生薬としても用いられるものが多く、まさに医食同源に合致する素材としても知名度が高いものです。健康食品などにもニンニクが含まれる製品がたくさんあります。
ニンニクの発がん抑制効果が注目されるきっかけとなったのは、人を対象にした疫学的な統計研究からです。たとえば中国の調査には、次のようなものがあります。「ニンニクを年間1・5kg以上摂取する人は、ほとんど摂取しない人と比較してがんのリスクが0.5倍である」と発表されました。
これは、がんにかかる率は半分になるという証明です。
イタリアの疫学調査でも、胃がんのリスクが低下すると報告されています。その後、世界じゅうで行われている実験や研究から、特に、胃や大腸など消化器系のがんに対する効果が期待されています。日本で行った実験では、発がん物質を塗布したマウスは皮膚腫瘍が10% 発生したのに対して、同時にニンニク抽出液を塗布すると腫癌発生率が0% に抑えられたという結果がでているほどです。
では、実際にどのような成分ががん予防に働き、作用するのでしょうか。ニンニクには独特のにおいがあります。においのもとは含硫化合物、つまり硫黄を含む化合物なのですが、これががん予防の有効成分のひとつです。
含硫化合物は、ものの毒性を消す働きをする、解毒酵素系を活性化させるのです。仮に、体内に、活性化した発がん物質があったとしましょぅ。このようなときにニンニクを食べると、含硫化合物が解毒酵素系を活性化し、それにょって、発がん物質の毒性を消すのではないか、と考えられているのです。
ただし、それだけではないことは明白で、ほかのメカニズムが複合的に協力しあって、より強い発がん抑制効果を示すという考え方のもとに、研究されています。
ニンニクにキズをつけたり加熱したり、物理的な力が加わると、アリキシンという物質が生成されます。ニンニクが自分を守るために作る自己防御物質なのですが、これに、発がんのプロモーション段階を抑制する作用があることが実験で証明されました。ニンニクの身を守る物質が、われわれの身も守るという点も興味深いところです。
アリキシンが生成されるには数時間から数日かかりますから、たとえばしょうゆ漬けや、ハチミツ漬けなどにするのは効果的です。
それからもうひとつ。ニンニクには、土壌に含まれるセレン(セレニウム) というミネラルをため込むという特性があります。おもしろいことに、このセレンも、がん予防物質として注目されているのです。
土壌中のセレンは無機セレンであり毒物ですが、植物に吸収されると有機セレン(セレンが組み込まれた有機化合物) に変わり、有効に利用できる形になるのです
ニンニクにはその特性があるということです。さて、がん予防のための有効量はどの程度なのか。先に紹介した中国の疫学調査を参考に計算すると、1.5 kgを365日で割った1日約4 g( ニンニク1個中のひとかけ) という答えがでますが、確定的な指標ではありません。
とりあえず、現在の段階でいえるのは、ニンニクを使うことでおいしい料理ができるのであれば、積極的に利用してほしいということです。
どのような調理法でも、けっこうです。焼いて食べたりするほか、野菜いため、焼き肉の香りづけに使うなど、好みに応じて無理なく、摂取してはいかがでしょうか。