発がんに至るまでになるとこのように、体はそれを排除して、より健康になろう、より長生きしようとするメカニズムが働きます。
こうした体の反応は、すべて、体を守るための反応であり、体に有害なものほ、何ひとつありません。こうした症状は、人間が勝手に、病気と称して病名をつけているだけで、実は自然治癒力の発現であるわけです。
こう考えてくると、ガンも、体にとって有害な、不可解な行動をする悪魔の細胞などではないのではないか、むしろ、健康のため、生命の維持のために必要な細胞ではないか、という見方もできます。
世界の先進国で膨大な費用をかけて、ガンに関する研究がなされているにもかかわらず、日本でも欧米諸国でも、ガンにかかる人やガン死する人が増え続けているということは、ガンに対する認識を180度変える必要があるのではないかという気がしてなりません。
そういう観点から、ガンをながめてみると、ガンは、善の細胞、である、という状況証拠がいくつも存在することに気づくのです。体にとって有益な細胞ガン細胞と白血球の共通性です。
ガン細胞からの活性酸素の放出
最近、その正体が明らかにされてきた活性酸素の研究が非常に盛んです。いま、医学や栄養学の研究の「花形」といってよいでしょう。
なぜなら、活性酸素は、ガンはおろかすべての病気の元凶で、老化とも深くかかわっていると目されているからです。
息を5分も止められれば死ぬことから考えて、酸素は我々の生命にとっていちばん大切なものであります。
「生きる」は「息る」から来ているといわれていほどのその大切な酸素も半面、強い毒素をもっています。
巨大な恐竜がほろんだのも、当時、地球上に植物が生いしげり、そこから出された過剰の酸素のため、という説もあるくらいなのです。
ひところ、未熟児芸濃度の酸素を与えすぎて、未熟児網膜症が多く発生したのは有名な話です。このように、酸素は、有毒な半面があります。活性酸素は、酸素より酸化力の強い酸素という意味なので、ますます、その毒性は強いとされています。
活性酸素種には、スーパーオキサイド、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素などが知られており、好気的代謝を行う細胞においては、必ず活性酸素が発生します。
発ガン物質は、2000種以上知られていますが、こうした発ガン物質が細胞に接すると細胞膜から活性酸素が放出され、この活性酸素によって、細胞の核の中の遺伝子であるDNA塩基の酸化、DNA鎖の切断、ガン遺伝子の活性化などがおこり、発ガンの原因になるとされています。
つまり、活性酸素は、発ガンのイニシエーション、プロモーショソ、プログレッションのすべての段階に関与するとされているのです。
すなわち、種々の発ガン物質は、細胞膜に接して、活性酸素の発生を促すことによって、発ガンが誘起されるということになるのです。よって、発ガンを抑制するにほ、活性酸素の働きを抑制すればよいということになります。
そうした物質が、スカベンジャー(活性酸素除去剤)といわれるもので、話題になったビタミンA などがそれです。
ほかにも、たとえばビタミンC 、E 、β-カロチン( ビタミンAの前駆物質)、玄米中のフィチン酸、赤ワインなどに含まれるポリフェノールなどがあります。このように超悪役と見られている活性酸素も、白血球(好中球)が、老廃物や病原菌を貧食するために生成するという事を鑑みたとき、ひょっとしたら、「悪役」というのは非常に知的なな見方ではないかという考えも浮かんできます。
つまり、老廃物や病原菌を燃焼させるために必要な酸素ではないかという考え方です。よって、発ガン物質という生体にとっての異物が体内に侵入してきたとき、それを燃焼するために白血球をはじめ、体内の各細胞が活性酸素を発生させると考えられるわけです。
この活性酸素が、ガン細胞から多量に発生するのです。ということは、ガン細胞はある面、白血球と同様の働きをしているということになります。
つまり、外から入ってくる有害物質や有害菌、また、体内で発生するいろいろな有毒物など、血液を汚し、発ガンの原因となる物質を解毒し、血液を浄化して、ガンを治そうとしているのかもしれないのです。
ガン細胞と白血球の共通性
白血球は、外来の病原菌を貧食・殺菌し、体内の老廃物を処理し、ガン細胞をやっつける…というように、病気の予防・治療にはいちばん大切な免疫細胞で、我々が、健康でいられるのも、病気しても、再び、健康になれるのも、この白血球の「免疫力」のおかげです。
一方、ガン細胞は、とめどもなく増殖し、しかも、転移をおこし、宿主(人体)に、感染、出血、痛み…などさまざまな苦痛を与え、最後は死をもたらす悪魔の細胞と考えられています。
この善玉そのものの白血球と、悪の極みとも見えるガン細胞とに共通点がある、というと、誰も信じてはくれないでしょう。
しかし、白血球とガン細胞には、
- 白血球が血液中や細胞内を移動するときに必要なLeXと呼ばれる分子( 糖鎖)をガン細胞も産出している。つまり、白血球と同じように、体内を遊走できる。
- 細胞と細胞の間に存在する基底膜を移動できるのは、白血球とガン細胞のみである。
つまり、白血球もガン細胞もメタロプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)産出して基底険を溶解して突破する。などの共通点があります。つまり、ガン細胞は、体内の老廃物・酸毒物を処理し、血液を浄化する善の細胞であるかもしれないということが推測されます。
ガン細胞はアポトーシスが起こらない
ガン細胞は、正常細胞が変異をおこしてできる「常軌を免した」細胞とされています。発ガン物質の刺激塞けると、正常細胞内の核の遺伝子が突然変異をおこし、ガン化します。
ふつうは、正常細胞内の遺伝子に異常が発生すると、細胞は成長や増殖をやめ自滅するようにできています。これは、生体内に病気を発生させないための仕組みのひとつであり、細胞の自殺=アポトーシスと呼ばれています。
ガン細胞の場合、正常細胞が明らかに異常細胞に変化したのに、アポトージスがおこらないのです。このことは、ガン細胞が生体にとって「必要」なものである可能性を示唆しているといえましょう。
正常細胞にはガン遺伝子が備わっている
人体の体細胞60兆個のそれぞれに、約10万種の遺伝子が存在します。つまり、身長が高いとか低いとか、色が白いとか黒いとか、髪が黒いとか黄色いとか…を決定する遺伝子です。
この10万種の遺伝子のうち、約60種類は、ガン遺伝子なのです。つまり、正常細胞には、有事の場合、すなわち、血液の汚れが生じた場合、ガンを発生させ、血液を浄化しょうとするメカニズムが存在するのではないでしょうか。
ガン細胞は、免疫攻撃を逃れる術をもっている
生体内に、異物(病原菌やアレルゲンなど)が侵入したり、体内で異物(異常細胞、有毒物など)が発生すると、種々の白血球が、何通りもの反応と作用をして、それらを排除してしまいます。
これが、免疫現象、つまり疫(病気)を免れる現象ですが、ガン細胞は、この「免疫」による攻撃を逃れる戦術をもっているのです。
- 脳や結合組織など、白血球が攻撃しにくいところに逃げ込む
- T細胞やマクロファージなどの免疫細胞が攻撃する時の目標とする目印のない細胞にガン細胞を変異させる
- 生体が腫瘍に対する免疫反応をおこしにくくするような働きかけを免疫細胞に対して行う
- 免疫反応に必要な時間よりさらに速い速度で、増殖する
このように、ガン細胞の働きの特性を、総合的かつ有機的に見た場合、ガンは生体にとって有益なもの、血液の浄化を行って延命を図る善玉細胞という結論が下せるのです