ガン 免疫力 があればは恐れるに足りず という考え方 は正解でもあり間違いでもあることを少し丁寧に書きたいと思います。
ガン 免疫力 があればは恐れるに足りず という考え方
「免疫力があれば、がんは恐れるに足りず」という考え方は、私たちの体が本来持つがん細胞を監視・排除する力に着目したもので、健康意識を高める上で非常に重要な視点を提供します。しかし、この言葉を鵜呑みにするのは危険です。免疫システムとがんの関係はより複雑であり、単純に「免疫力＝がんにならない」とは言い切れません。ここでは、この考え方が持つ真実と、それがもたらす誤解について掘り下げていきます。
「免疫力があれば、がんは恐れるに足りず」という考え方には、一部に真実がある一方で、誤解を招く可能性も含まれています。
免疫とがんの関係性
私たちの体には、常にがん細胞の候補が生まれていますが、免疫システムがそのほとんどを監視し、排除しています。このプロセスを「免疫監視」と呼び、免疫細胞（特にNK細胞やT細胞）が重要な役割を果たしています。つまり、免疫システムが正常に機能している限り、がんの発生や進行は抑えられているのです。
この意味で、「免疫力があれば、がんを恐れるに足りず」という考え方は、一面の真実を捉えています。
免疫力だけでは不十分な理由
しかし、この考え方にはいくつかの注意点があります。
- がん細胞の巧妙な戦略: がん細胞は、免疫システムによる攻撃から逃れるための巧妙な手段を持っています。例えば、免疫細胞ががん細胞を攻撃するのをブロックする分子を表面に出したり、免疫細胞そのものを不活性化させたりすることがあります。免疫力が高い人でも、こうしたがん細胞の策略によって、がんが進行してしまうことがあります。
- 免疫力低下の原因は多岐にわたる: ストレス、睡眠不足、不規則な生活、栄養の偏り、加齢など、免疫力が低下する要因は数多く存在します。また、加齢に伴い、誰でも免疫機能は徐々に低下します。
- がんの種類や進行度: 免疫細胞が効果を発揮しやすいがんと、そうでないがんがあります。また、がんが進行してしまった場合、免疫力だけで治療することは非常に困難です。
現代のがん治療と免疫
近年、この免疫とがんの関係に着目したがん免疫療法が大きく進歩しました。これは、患者自身の免疫細胞を活性化させてがんを攻撃させる治療法で、従来の抗がん剤や放射線治療に次ぐ「第4のがん治療」とも言われています。
この治療法が成功を収めていることは、「免疫」ががん治療において非常に重要であることを示しています。
結論
「免疫力があれば、がんは恐れるに足りず」という言葉は、健康維持のために免疫力を高めることが重要というメッセージを伝える上で有効です。
しかし、がんの予防や治療においては、免疫力だけに頼るのではなく、定期的な健康診断や医師の診断、適切な治療を組み合わせることが不可欠です。
免疫力を高めることは、がん予防の基盤となりますが、それだけでがんを完全に防いだり、治したりできると考えるのは危険です。
