世界的な生化学者であったグリーンスタインやブロンドは、「ほとんどの薬に発ガン性がある」と、すでに1960年代に述べています。
ホルモン剤については、避妊薬が肝臓ガン、子宮ガン、卵巣ガンを、成長不良に使われる成長ホルモン剤が白血病を、子宮内膜症に使用されるダナゾールが肝臓ガンを、月経困難・更年期障害・前立腺ガンに処方されるエストロゲンが乳ガンや子宮内膜ガンを、再不良性貧血に用いられるタンパク同化ホルモン剤が肝臓ガンを、それぞれつくりやすいことについては、かなり以前から認められています。
また、鎮痛剤のフェナセチンは、腎臓ガンや膀胱ガンを誘発しやすいこともわかっています。自己免疫疾患(膠原病など)や、臓器移植後に用いられる免疫抑制剤のアザチオプリンは、皮ふガン、肝臓ガン、悪性リンパ腫、肉腫を発生させる可能性があるといわれています。
しかし、驚くべきことは、抗ガン剤に、発ガン性があるという事実です。当時、東大薬学部の助教授であった首藤紘一先生は「抗ガン剤の多くは発ガン剤である。合成の抗ガン剤に限らず、植物成分や抗生物質として分離された抗ガン剤にも、発ガン性が確認されているものも多い。
むしろ、非発ガン性の抗ガン剤は、代謝括抗物質のほかは例外的である。とさえ述べておられます。
体内にガンが生じると、NK細胞やT 細胞、マクロファージなどの白血球により、ガンの増殖や転移が抑えられます。抗ガン剤による治療中に、白血球が減少し、2000以下になると抗ガン剤の投与ができなくなることがよくありますが、
そう考えると、ガンをやっつける免痺細胞の白血球を減少させてしまう抗ガン剤に、発ガン性があるというのほむしろ当然のことかもしれません。
現在、明らかにされている抗(制)ガン剤のうち、マイトマイシンC 、マイレラン、クロランプチル、サイクロフォスファマイド、メルファラン、ナイトP ジェンマスタードが白血病を、ダウノマイシンやブレオマイシンが肺ガンや皮ふガンを誘発することが明らかにされています。
また、ホジキン病などに用いられるMOPP療法(抗ガン剤を組み合わせる多剤療法)は、白血病をはじめ、胃腸のガン、メラノーマ(皮ふガン)、肺ガン、脳腫瘍、甲状腺ガン、肉腫などを発生させる可能性がある、ともされています。