ガンは、これまで述べてきたように、過食をつつしみ、よく運動し、心を明るくもって、体を温め血液をきれいに保つことで予防することこそ最も大切です。
火事(ガン)になってから火を消すのは大変だし、時として、全焼( 手遅れ)することもあるのですから、予防が最上の方策であることはいうまでもありません。しかし、不幸にして、ガンになった場合も、決してあきらめないことです。
オランダのエラスムス大学医学部の病理学老のフアン・バーレン博士とド・フリース博士は、ガン患者のうち、自然退縮した患者と、悪化していった患者の精神状態その他を観察したところ、次のようなことがわかりました。
ガンが悪化した患者たちは、「治療にたいした希望を持っていないし、かといって、確たる信念をもった自己流の治療もしていない」「食生活に対する反省もなく、ガンになる前と同じ食生活をしている」という傾向があったというのです。
一方、ガンを自然退縮させた人は、「食生活もガンの原因だったと気づき、食生活を根本的に変えた」「人生観も大きく変わった」「敬けんな宗教心を持つようになった」「現代医学の治療の効果に疑いをもつようになった。その結果、主治医の説得を振り切って代替療法を試みた」「ガンの宣告後、絶望と悲しみの中でもがき苦しんだ後、希望を見出した」などのうち、全部または、いくつかを経験した人たちだったということです。
ガンは外来の病原菌でおこったものでほなく、自分の体の中で自分が作った「身内の細胞」なのですから、血液の汚れを除き、なる状態を作ってやることこそ肝要でです。
しかし、「○○でガンは治った」血液の浄化装置としてのガン腫の存在が不必要と「ガンは自分で治す」というくらいの気概は必要とうたうような、誤った代替療法にのめり込まないようにする必要があります。
また、現代医学を頭から否定することもよくないでしょう。手術、放射線、抗ガン剤による治療法については、納得のいくまで主治医と話し合い、必要ならば他のお医者さんから、セカンド・オピニオンやサード・オピニオンを聞いて、十分に納得したうえで治療を受けることが大切です。
現代医学的治療を受けるにあたっても、これまで述べてきた食、運動、精神の面は自分で並行して十分にケアする必要があります。
「自然療法」で治癒したり著しく改善した例を出していますが、すべてのガン患者が自然療法で治療するなどと、大それたことほいえません。人参・リンゴジュースや玄米菜食などの自然療法を始めても、あまりにガンが進行しすぎていて、たいした効果もなく亡くなった方々も多数いらっしゃるのです。
しかし、こうした「治癒またほ改善例」は、あまりにも副作用の大きな現代医学的な治療の中で、一筋の光明を与えてくれることは確かでしょう。
また、現代医学的には治療の手段がないため自然療法をやった方々や、そうでなくても自分自身の意志で現代医学的治療をこばみ、自然療法にかけた方々ほ、たとえ最終的には死の転帰をとっても、一般にいわれるガン患者特有の激しい痛みや出血、感染症などの断末魔の苦しみがはとんどないという印象があります。
よって、ガン特有の痛みや出血などの諸症状ほ、抗ガン剤や放射線、手術などの副作用や後遺症にかなり修飾されていると考えられるわけです。さて、ガンと診断されたときにどう対処したらよいかについて、私見を述べてみたいと思います。
手術を受けるべきか否か
手術によってよはどの後遺症が出ない限り、手術ほ受けたほうがよいでしょう。くに胃や大腸のガンや気管支(肺)のガンなど、放っておくと腫瘍が胃腸管を塞いで通過障害をおこしたり、気管支を圧迫して呼吸困難をおこしたりする可能性もありますので、一応手術は受けるべきなのです。
種々の理由で、現代医学に対する不審感があまりに強いため、頑なに現代医学的治療をこばむ人がいますが、10年ないし30年かかってジワジワとできてきた腫瘍を、数週ないし数ヶ月の「自然療法」で小さくしようとするのはしょせん無理な話なのです。
ガンの手術後の再発や転移ほ、手術前とまったく同じような食生活をほじめ生活習慣を続けると当然おこってくるのですから、手術後にこそ、血液浄化の自然療法をしっかりやることが重要なのです。
ただし、「手術しても2~3ヶ月の寿命の延長しか得られない」とか、「余命は長くはないが、一か八か手術をやってみょう」とかの場合は、手術そのものによる体力や免疫力の低下を考えた場合、自然療法にかけるのもよいでしょう。
手術後の放射線療法や化学療法の可否
手術によりガンの病巣を摘出し、さらに周囲のリンパ節も郭清し、外科医が肉眼で見えるところにガンが見あたらなかった場合にも(もちろん、手術不能の場所に腫瘍の取り残しがある場合も)、再発や転移の予防と称して放射線療法や化学療法が施されるのが一般的です。
こうした療法はガン細胞が正常細胞より放射線や抗ガン剤によって、よりダメージが大きいことを前提に行われているため、体力がある人には、容認できます。
しかし、放射線や化学療法で、気力、体力ともに低下し、何よりもガン細胞をやっつけてくれる血液中の白血球が激減(2000個以下)した場合ほ、何のための治療か意味をなさないことになります。7たとえ、こうした療法を受けている間も、玄米自然食、人参・リンゴジュースをほじめガン基本食の実践、できる限りの散歩(などの運動)、積極志向などを心がけることはい5うまでもありません。
ただ、手術後、放射線や化学療法を主治医にすすめられながら、その副作用やデメリットを心配し、そうした療法を拒否して、自然療法1本にする方もいらっしゃいますが、自然療法をして再発を絶対阻止できるという保証はありません。
もし、自然療法一本にかけて再発したとき、「やっぱり、化学療法などを受けておけばよかった」と後悔しないことです。化学療法や放射線療法を受けても再発する人はたくさんいるのですから。
手術後、自然療法だけやってきた人も、再発して化学療法などの必要が生じたときほ受けたほうがよいでしょう。自然療法で血液が浄化された後の再発なので体力も増強しており、化学療法や放射線療法がさらによく効くかもしれないからです。
化学療法を受けるか否か
白血病や悪性リンパ腫、睾丸の腫瘍などほ、化学療法が大変よく効きます。とくに、最初の治療では、効果が大きいのです。
よって、迷わず化学療法を受けるべきです。化学療法で寛解(治癒でほないが一見病気が治ったように見える状態)して退院したら、「執行猶予」の期間と思い、必死で自然療法をやるのがいいでしょう。
ただ、何回も寛解と再発をくり返し、抗ガン剤がだんだん強力になるのに治療の効果は上がらず体力はますます落ちて、薬の副作用も種々発現し、しかも主治医より「生きられる期間も数ヶ月」などといわれたら、自然療法で、体力と免疫力をつけ、治癒への一経の望みを託したほうがよいでしょう。
胃ガン、大腸ガン、肺ガン、子宮ガン…などの固型ガンで、手術不能のため「抗ガン剤でもやってみるか」くらいの程度で化学療法がなされる場合は、主治医に予後( これから何年くらい生きられるか) や、化学療法を受けた場合の副作用や余命、受けなかった場合の余命や出てくる症状などについて十分に質問と相談をすべきです。
「化学療法を受けても受けなくても数ヶ月から1年くらいしか余命の差がない」といわれたら、化学療法による副作用を考えた場合、自然療法をやったほうが賢明でしょう。QOLは高まるし、治癒への光明を見出せるかもしれないのですから。
しかし、こうした判断は、患者さん自身の生命観や人生哲学によって大きく変わってくることが多いようです。よって、主治医とよく相談のうえ、最終的にほ、自分自身の決断において決めるべきでしょう。
末期ガン
「末期ガンで手術不能、放射線や化学療法でも、大した効果が期待できない」などと診断された場合、食事療法を中心とした自然療法を、文字通り「命懸け」でやるべきです。それによって、ガン患者特有の断末魔の苦しみから逃れられることもままありますし、治癒へのわずかな期待も得られるかもしれませんので。
しばらく様子を見てよいガン
乳ガン、乳房の腫瘍、胃や大腸のポリープ、その他の臓器の腫瘍で、「良性か悪性の判別がつかないので、しばらくして再検査を」とか「ごく初期のガンだが、しばらく経過観察を」などという診断がなされた場合は、必死に、血液浄化による抗ガン療法をやるべきです。