セロリは、古くは、古代エジプト人も利用していた、最も古い栽培植物のひとつです。当時のエジプトでは、亡くなった人をミイラにする習慣がありました。腹部にいろいろな香料を詰め込み、腐敗や悪臭を防ぎましたが、セロリも香料のひとつとして使われたようです。
セロリの独特のニオイが苦手で食べることができない人が多いのもセロリの特徴でもあります。
欧米では薬用の他、肉の臭み消しとして古くから煮込み料理やスープのベースなどに使われてきました。現在も肉料理では活躍しています。
その後、ヨーロッパなどで薬用に使われました。香りの成分が胃液の分泌を促し食欲を増進するので健胃剤として、植物繊維も多く香り成分が腸を刺激して便通を促すので、整腸剤として用いられていた歴史があります。また、セロリを常用していると精力を増強するといわれています。
女性が用いると、性感を高める効果があり、通経薬(月経を起こさせる薬〉にもなります。
あるいは、ホルモン分泌を調整する働きがあるのかもしれません。セロリが食用として栽培されるようになったのはフランスが初めてで、17世紀のことです。あの強い香りで肉のくさみを消すのに用いられました。日本に伝わったのは、戦国時代に朝鮮から持ち帰ったとされます。それゆえ、
本格的に食べられるようになったのは、第二次世界大戦以後のことです。
近年、いろいろな食品に含まれる成分で、体にいい作用をするために、研究が進んでいます。
そのひとつが抗血小板凝集作用で、セロリにもこの作用のあることが明らかにされています。抗血小板凝集作用とは、血管の中で血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ働きで、心筋梗塞や脳梗塞などの予防に役立ちます。
年をとって動脈硬化が進行してくると、血液が固まって血栓をつくりやすくなります。できた血栓が心臓の冠状動脈に詰まると心筋梗塞に、脳の動脈に詰まると脳梗塞に、肺の動脈に詰まると肺塞栓になるのです。このように血のかたまり(血栓) が動脈を詰まらせる病気を血栓症といいますが、日本人の死因の中でがんに次いで多く、患者数は増加しています。
専門家がいろいろな食品について、抗血小板凝集作用を調べていますが、そのなかで、セロリはその作用がいちばん強いもののひとつにあげています。つまり、セロリには血液をサラサラにして固まりにくくする作用が強く、心筋梗塞や脳梗塞を予防してくれる食品というわけです。
セロリはセリ科の植物です。漢方薬として使われている植物にはセリ科のものが多く、薬理作用を持った成分が、科学的に明らかにされています。
アシタバも同じくセリ科ですが、これから抽出したカルコンとクマリンという成分に制がん作用のあることが実験的に確かめられています。