約25年にわたって海草とがん予防の研究をつづけてきた専門家の研究内容です。コンプ、わかめ、ひじき、それぞれに効果があることが確認されています。ここでは、なかでも効果の高い数値を示した海苔をについてです。
まずは、腸がんを引き起こす「DMH」という発が発がん物質をラットに投与して、実験を行ったものです。ラットは、次の3グループに分けています。
- A= 普通のエサを食べたグループ
- B=利尻昆布2%をまぜたエサを食べたグループ
- C=アマノリ2%をまぜたエサを食べたグループ
それぞれのエサを12週間食べさせ、同時にその間発がん物質「DMH」を12回注射。12週以降はすべての群に普通のエサを与え、「DMH」の注射もやめました。20週目に解剖し、がん発生率を比較しました。
結果は、Aでは10匹中8匹が発がんしていました。発がん率80%です。これに対して、利尻昆布をまぜたBでは発がん率40% 、さらにアマノリをまぜたCでは20% にとどまっており、明らかにがん予防の効果が認められたのです。
別の実験では、乳がんを引き起こす「DMBA」という発がん物質をラットに投与しました。普通のエサを与えたグループ以下、細目昆布、利尻昆布、三石昆布、アマノリをそれぞれ2% をまぜたエサの、計5グループに分けました。それぞれを22過食べさせ、4週目に発がん物質を投与、2週以降はすべての群に普通のエサを与え、31週目に解剖しました。
その結果、発がん率は利尻昆布が50% 、三石昆布は65% でしたが、なかでも低い発がん率を示したのが細目昆布(35%)、そしてアマノリ(35%) でした。
このような作用は何によってもたらされたのでしょうか。最初に着目したのが「カロチン」です。日本の食品中で最も多くカロチンを含むのは、抹茶ですが、第2位がじつは海苔なのです。
度はカロチンに焦点を当てて、腸がんの発がん率をくらべました。普通のエサに2% の海苔をまぜて効果がありました。よって、その中に含まれるβカロチンのみで検討を行いました。2%の海苔中に含まれるβカロチンは0.00024% です。ノリから抽出した0.00024%のβカロチン、そして0.00024%の合成βカロチンを摂取した場合を調べたところ、ともに低い発がん率を示しました。
海苔にはほかにも、抗酸化作用のあるビタミンC・E 、さらに食物繊維などを含みます。これらが総合的に働いたことも、発がん率を下げた要因となったと覆われます。
さて、これを人間の食事におきかえた場合、どのくらい食べればよいでしょうか。ラットの実験では、エサに2% の海苔をまぜたときに効果が認められました。個人差はぁりますが、人間には1 日に約20000kcal のエネルギーが必要です。
市販の焼き海苔(約20×20cm) は、1枚3gですから、約2枚半の海苔を食べればいいことになります。
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[…] 昆布海苔と海草類のガン予防効果、抑制効果を紹介してきましたが、今回も海藻で、「わかめ」です。 […]