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消化器系のガンを抑制するお茶の渋み成分

静岡県のがん死亡率が、全国平均と比べて非常に低いことに着目し、緑茶とがんの関係について調査を行った短大があります。
短大が行った疫学調査では、県内でも特に緑茶をたくさん飲む地域ほど、がんの死亡者数が少ないことが確認されています。

最近でも、埼玉県立がんセンターが、地域住民の緑茶の摂取量を調査したデータをもとにがんとの関係を調べ、あらためて緑茶の持つがん予防効果が裏づけられたと発表しています。

このように、疫学調査や実験から、が証明されています。それでは、緑茶のどのような成分が、ます。最も有効な成分は「カテキン」です。発がんを防ぎます。私たちはふだん、ごはんのデンプン、緑茶ががん予防、特に消化器系のがんに効くことどのようにがん予防に働くのかということになり緑茶独特の渋みのもとで、これが体内で作用し、肉のタンパク質や油脂など分子量の大きいものを食べています。これらは、消化され、最終的に炭酸ガスと水になりますが、その過程で休内で酸化反応が起こります。
特に分子量が大きいもの、たとえば油脂などは、過酸化物質をつくりやすく、これが異常な細胞集団をつくる引き金となって、がん化すると考えられています。悪の根源は過酸化物質。つまり過剰な酸素を有する物質ですから、この酸素を消す作用のあるものを体に入れればいいことになります。それがカテキンです。カテキンはみずからが酸化することで、ほかの物質が持つ余分な酸素を消去し、異常細胞をつくらないようにするのです。

このほか、発がん物質の働きを抑える作用があることなどもわかっています。以上は発がんのイニシエーション段階での作用ですが、プロモーション段階においても、がん細胞の増殖を抑えるという実験結果が数多く報告されています。

緑茶にはカテキンのほかにもカロチン、ビタミンC、E などがとても豊富です。がん予防の有効成分ということでみれば、カテキンが主役。カロチンやビタミン類はサポート役を果たしているといえるでしょう。

緑茶のなかで、カテキンを最も多く含むのは番茶です。玉露や煎茶は、渋みよりも甘みを感じます。それはカテキン含量がやや少なく、アミノ酸量が多いからです。ほうじ茶は高温で培煎する際にカテキンが分解してしまうので、渋みがほとんどありま助ノせん。また、数年前に開発されたギャバロン茶という緑茶は、カテキン量も多く、ほかに血圧を下げる有効成分が多いのが特徴です。

積極的ながん予防のためには、毎日10杯は飲むといい、とされています。しかし、お茶好きの人でも10杯はハードルが高いです。そこで、毎食後と、10時と3時のおやつのときに必ず飲むようにして、最低でも1日5杯という数字をクリアーするようにしましょう。

また、残った茶がらには、がん予防に効果的なビタミンEや食物繊維がたっぷりと残っていますから、捨てるのはもったいない。ちりめんじゃこやおかかをまぜて、しようゆをたらして食べるとおいしいででしょう。

カテキンを豊富に含む無添加の番茶一覧はこちら。

乳がんを抑制するみそ

味噌は、その昔、調味料というよりはおかずとしての色合いが強かったと古書に記録があります。味噌の栄養的価値は、1000年以上もの昔から知られているということが確認されています。
国立がんセンターの行った調査でも、みそ汁を毎日飲む人は、ほとんど飲まない人にくらべて胃がんで死ぬ人が少ないというデータも出ています。
このような疫学的調査によって、みそががんの発生を減少させることはすでに明らかになっていました。
そしてそれを裏づけるような実験結果が、近年、多数発表されています。

みそに含まれる成分は、どれをとっても体にいいものばかりで非常に優秀です。免疫力を高めるタンパク質、コレステロールを抑えて血液の流れや代謝をよくする不飽和脂肪酸、解毒作用を持つ食物繊維、そしてビタミンやミネラル。これらの栄養素すべてが、がん予防に役立っています。しかし、その主役は何なのか。研究を重ねた結果、その成分は「フラボノイド」という成分であることが明らかになってきました。

肝臓がんの遺伝子を持つマウスを用いた実験では、普通のエサ、みそを加えたエサ、フ
ラボノイドを加えたエサの3種類で発がん率を比較しました。
その結果、普通のエサを与えたマウスにくらべ、みそやフラボノイドを加えた場合では、発がん率が大幅に抑えられました。

別の乳がんの実験で、がんの発生個数を見てみると、普通のエサでは平均4個の
がん腫瘍ができたのに対し、みそを加えたエサでは2個、フラボノイドを加えたエサでは
3個のがん腫瘍ができるという結果が得られました。

これらの実験結果から、確かにがん予防の主役はフラボノイドであることがわかります
が、もちろんそれだけではありません。たとえば、みそに含まれる酵母、乳酸菌などは、体内で合成される発がん物質の除去に役立っているとの報告もあります。

つまり、フラボノイドを中心に、いくつかの成分が相乗されることで、よりいっそう、みそのがん予防効果を高めているようです。では、1日どのぐらいのみそを食べるといいのかといいますと、実験結果からフラボノイドは50~100ppmで効果を示すことがわかっています。それを含むみその量は約5~10gで、みそ汁にすると約2杯分にあたります。

1日3食のうちの2食に、みそ汁を飲んでほしいものです。みそには豆みそ、麦みそ、米みそなどがありますが、特に効果が高いのは、フラボノイドが多い豆みそです。
豆みそについては、戦国時代に、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康らが、焼きおにぎりにこれを塗って食べて活力をつけたという逸話があるほどです。

ゴマ のセサミノールが酸化予防

胃がんや食道がんの多発地城として知られる、中国河南省の林具という農村で約3万人を対象に5年間にわたる追跡調査が行われました。
住民たちマイクログラムにβカロチン15mg、ビタミンE 30mg、セレン(セレニウム) 50μg (1μg= 1gの10万分の1) を毎日飲んでもらい、その結果が驚くべきものでした。
これらの微量栄養素を毎日摂取したグループの5年間のがん死亡率は、摂取しなかったグループにくらべ13%も低く、特に胃がんでの死亡率は21% も低下していました。
人間の体内では、フリーラジカルと呼ばれる酸化作用の強力な悪玉物質が絶えず発生しています(酸化とはサビつくことです)。このフリーラジカルによって細胞が攻撃され、遺伝子や細胞膜が酸化されると、がん細胞ができ上がるのです。
βカロチンやビタミンEは細胞膜に存在し、フリーラジカルの攻撃から細胞を防衛しています。細胞内では、また数種類の酵素がフリーラジカルの掃除にせっせと働いていますが、その一種であるグルタチオンペルオキシターゼの構成成分として欠かせないのが、調査にも使われた微量元素・セレンです。

セレンは、植物ではゴマに豊富に含まれ、10g のゴマで約53μgのセレンをとることができます。穀類や魚貝類にも多く含まれますので、平均的な日本人の食生活で1日12μgのセレンを摂取できます。しかし、肉に偏りがちな食生活のかたは、食卓にゴマを常備しておき、1日10gを目安に食べましょう。これで効率よくセレンを補うことができます。

ゴマの常食をおすすめしたいのには、もうひとつ理由があります。セサミノールという、ゴマ特有の抗酸化物質をとることができるからです。

揚げ物に植物油を使うと加熱によって酸化が進み、油が黒ずみます。植物油には、抗酸化作用のあるビタミンEが豊富に含まれていますが、それをもってしても抑えられないほどの酸化なのです。しかし、同じ植物油でもゴマ油を使うと黒ずむことがありません。ビタミンEでは抑えられない油の酸化でさえも、ゴマ油特有の成分には抑えることができるからです。この成分は、ゴマからゴマ油を精製する過程で生じるセサミノールであることが、明らかになりました。
セサミノールはゴマ油に含まれるだけでなく、ゴマを食べると、腸内細菌の働きで腸管内でセサミノールが生成するともわかりました。吸H収されたセサミノールは血液によって全身の細胞に運ばれ、乞てのすぐれた抗酸化作用でフリーラジカルの攻撃から細胞を守ってくれることが期待されるのです。

細胞の中の遺伝子がフリーラジカルによって酸化されると、その傷が修復される過程で8-OHdG(8-ヒドロキシデオキシグアノシン)という物質が尿中にふえます。つまり、8-OHdGは体内で遺伝子がどれだけ酸化され、がん化しかけているかを示す指標といえます。

ゴマを食べれば、セサミノールが体内で抗酸化作用を発揮して細胞のがん化を防いでくれる可能性も実験によって明らかになっています。摂取量の目安は、1日10gですが、有効成分がきちんと吸収されるよう必ずすりゴマのかたちで食べるのがポイントです。

カレー粉の 黄色い色素には抗酸化作用がある

日本でガンが発症する少ない県として知られる沖縄県では、ウコンを発酵させてから煎じるウコン茶が、昔から飲まれています。
このウコン茶には、非常に強力な抗酸化作用(酸化を防ぐ作用) があることが確認されています。
体内では、フリーラジカルと呼ばれる酸化作用のきわめて強い悪玉物質が絶えず発生しています。
体を構成する細胞のひとつひとつが日に1000回もフリーラジカルの攻撃にさらされるといわれます。フリーラジカルによって酸化された細胞は、ほとんどの場合、すみやかに修復されますが、なかにはたび重なる攻撃で酸化され、がん化する細胞もあらわれます。

ウコン茶を飲む習慣はそのフリーラジカルによる細胞の酸化を防ぐ成分を体に補うことで、がん予防に役立っている可能性があるのです。ところで、ウコン茶を飲んだことのないかたでも、じつはウコンの有効成分を知らず知らず摂取しておられるはずです。ウコンを乾燥させたものはターメリックと呼ばれ、カレー粉には、欠かせない香辛料です。

ターメリックの主成分はクルクミンという黄色の色素で、カレーのルーが黄色いのは、このクルクミンを豊富に含んでいるためです。
クルクミンそのものの抗酸化作用はさほど強くありませんが、摂取したクルクミンが腸から吸収される際、粘膜の細胞内の酵素によってテトラヒドロクルクミンンという強力な抗酸化物質に変換されることが、確認されちます。つまりカレーライスなどを食べれば、クルクミンが腸管粘膜でテトラヒドロクルクミンになり、強力な抗酸化作用を発揮してフリーラジカルによる酸化の害を防いでくれる可能性が大いにあるということです。

このようなクルクミンの代謝ルートから見て、まず期待されるのが大腸がんの予防です。

大腸がんを引き起こす発がん物質をマウスに与え、3ヶ月後に腸を調べると、がん化しかけた前がん病変があちこちに認められます。国立がんセンターとの共同実験では、テトラヒドロクルクミンンを0;5% 含むエサを与えたマウスは、普通のエサを食べたマウスにくらべ、大腸の前がん病変の発生が約30%も抑えられました。
クルクミンを0.5% 含むエサを与えた場合でも、約13% の抑制が認められ、これはクルクミンの一部が大腸でテトラヒドロクルクミンに代謝され、抗酸化作用を発揮した結果と
考えられます。クルクミンの摂取は大腸がんのみならず、ほかの臓器や組織でもがん予防に役立ってくれる可能性があります。
米国での報告によれば、クルクミンの摂取で皮膚がんの発生が抑えられたとしています。インドやマレーシアではカレーを食べるだけでなく、女性が一種の化粧品としてターメリックを用い、肌に絵を描いたり、ターメリックをヨーグルトにまぜたものを顔などに塗る習慣がありますが、これなども伝統的ながん予防法といえるかもしれません。
カレーライスは、いまやわが国でも国民的なメニューのひとつとして親しまれていますが、カレーの具となるニンジンはカロチンを、ジャガイモは熟に強い安定した形でビタミンCを含み、ライスはビタミンEの重要な摂取源です。
つまりカレーライスを食べれば、クルクミンのほかにこれら3種類の抗酸化ビタミンを同時にとることになり、がん予防に相乗効果が期待されるのです。ただし、カレーライスさえ食べていればがんを防げるというものではありません。がんを防ぐには、食品をバランスよくとることが大切です。
ターメリックは香辛料ですので、いろいろな食品と組み合わせて料理に使うことができます。カレーライスを週に1~2 回食べるほか、台所にカレー粉を常備して揚げ物、いため物などに用い、がん予防にうまく役立てたいものです。

ウコンの薬効については、こちらが参考になります。

ヨーグルトの乳酸菌は腸内環境を整え、細胞のがん化を防ぐ

日本人にとってはすっかり日常的な食べ物になったヨーグルト。意外にもその存在は古くからあり、じつは有史以前から作られていた世界最古の食べ物のひとつなのです。
このヨーグルト、ふだん口にしているものは、牛乳を乳酸菌で発酵させたものです。牛乳にはカルシウムをはじめ、多くの栄養素がバランスよく含まれており、がん予防にも有効です。
元気な体をつくるためにもどんどん飲んでもらいたいものです。しかし、牛乳を飲むと、おなかが張ったり、下痢をしたりするので飲めないという人も少なくありません。これは、牛乳に含まれる乳糖が分解されないために起こる現象(乳糖不耐症といいます)なのですが、もともと日本人には乳糖を分解する酵素が少ないため、このような症状が起こる人が多いようです。
同じ乳製品でも、ヨーグルトならば乳糖不耐症の人でもおなかがゴロゴロすることはありません。というのは、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、乳糖を分解する酵素を持っているからです。

乳酸菌の働きはこれだけではありません。がん予防のカギを握るのも、乳酸菌です。人間の腸の中には、約100修理の腸内細菌が存在しています。このなかには、健康維持に役立つ善玉菌と、有害な悪玉菌とがあります。
若いときは善玉菌が多いのですが、加齢とともに悪玉菌の割合が増加します。そしてこれは、成人病を引き起こす原因でもあることがわかってきました。

ところで乳酸菌には、腸の中の善玉菌をふやして悪玉菌を減らす働きがあります。これによって、さまぎまな病気が予防されるという報告もありますが、何より腸そのものへの効果は大きいのです。ふえた善玉菌が腸の働きを整え、便秘や下痢を防ぐのはもちろん、腸の中の有害物質の働きを抑制したり、排泄を促したりして、腸がんができるのを防ぐのです。

ヨーグルトの乳酸菌にはもうひとつ、がんを予防する働きがあることがわかってきました。抗変異原性作用です。細胞のDNAに突然変異を起こさせる物質を「変異原性物質」といいます。変異原性物質は、ときとしてがん細胞をつくります。この変異原性物質の生成や働きを抑える作用を、抗変異原佳作用といいます。乳酸菌の抗変異原性作用に関して、
ヨーグルトについては数多くの研究を行っていますが、次のようなデータも出ています。ヨーグルト100gを毎日食後に3 回、1週間食べてもらい、その人たちの便中に発がん物質がどのくらい残っているか調べました。すると、7~8割の人の便中の発がん物質は減少していました。これは発がん物質の変異原性が、ヨーグルトの乳酸菌によって抑えられたことによります。
その他にもヨーグルトの実験はさまざまな機関や大学などで行われています。

さて、市販のヨーグルトには食べるタイプと飲むタイプがありますが、効果は変わりません。胃酸が薄められている食後に200~400g食べるのが理想的ですが、実際に200~400gはかなりの量になります。
予防効果を高めるには何よりもつづけて食べることです。最後にひとつだけ、つけ加えておきます。ヨーグルトには、糖質が含まれていますので、糖の摂取過剰にならないためにも、無糖のもの、プレーンヨーグルトがおすすめです。

こちらのサイトは便秘解消の面からヨーグルトの効果を紹介しているサイトですが、そのヨーグルトの作用について詳しく書かれています。