日本でガンが発症する少ない県として知られる沖縄県では、ウコンを発酵させてから煎じるウコン茶が、昔から飲まれています。
このウコン茶には、非常に強力な抗酸化作用(酸化を防ぐ作用) があることが確認されています。
体内では、フリーラジカルと呼ばれる酸化作用のきわめて強い悪玉物質が絶えず発生しています。
体を構成する細胞のひとつひとつが日に1000回もフリーラジカルの攻撃にさらされるといわれます。フリーラジカルによって酸化された細胞は、ほとんどの場合、すみやかに修復されますが、なかにはたび重なる攻撃で酸化され、がん化する細胞もあらわれます。
ウコン茶を飲む習慣はそのフリーラジカルによる細胞の酸化を防ぐ成分を体に補うことで、がん予防に役立っている可能性があるのです。ところで、ウコン茶を飲んだことのないかたでも、じつはウコンの有効成分を知らず知らず摂取しておられるはずです。ウコンを乾燥させたものはターメリックと呼ばれ、カレー粉には、欠かせない香辛料です。
ターメリックの主成分はクルクミンという黄色の色素で、カレーのルーが黄色いのは、このクルクミンを豊富に含んでいるためです。
クルクミンそのものの抗酸化作用はさほど強くありませんが、摂取したクルクミンが腸から吸収される際、粘膜の細胞内の酵素によってテトラヒドロクルクミンンという強力な抗酸化物質に変換されることが、確認されちます。つまりカレーライスなどを食べれば、クルクミンが腸管粘膜でテトラヒドロクルクミンになり、強力な抗酸化作用を発揮してフリーラジカルによる酸化の害を防いでくれる可能性が大いにあるということです。
このようなクルクミンの代謝ルートから見て、まず期待されるのが大腸がんの予防です。
大腸がんを引き起こす発がん物質をマウスに与え、3ヶ月後に腸を調べると、がん化しかけた前がん病変があちこちに認められます。国立がんセンターとの共同実験では、テトラヒドロクルクミンンを0;5% 含むエサを与えたマウスは、普通のエサを食べたマウスにくらべ、大腸の前がん病変の発生が約30%も抑えられました。
クルクミンを0.5% 含むエサを与えた場合でも、約13% の抑制が認められ、これはクルクミンの一部が大腸でテトラヒドロクルクミンに代謝され、抗酸化作用を発揮した結果と
考えられます。クルクミンの摂取は大腸がんのみならず、ほかの臓器や組織でもがん予防に役立ってくれる可能性があります。
米国での報告によれば、クルクミンの摂取で皮膚がんの発生が抑えられたとしています。インドやマレーシアではカレーを食べるだけでなく、女性が一種の化粧品としてターメリックを用い、肌に絵を描いたり、ターメリックをヨーグルトにまぜたものを顔などに塗る習慣がありますが、これなども伝統的ながん予防法といえるかもしれません。
カレーライスは、いまやわが国でも国民的なメニューのひとつとして親しまれていますが、カレーの具となるニンジンはカロチンを、ジャガイモは熟に強い安定した形でビタミンCを含み、ライスはビタミンEの重要な摂取源です。
つまりカレーライスを食べれば、クルクミンのほかにこれら3種類の抗酸化ビタミンを同時にとることになり、がん予防に相乗効果が期待されるのです。ただし、カレーライスさえ食べていればがんを防げるというものではありません。がんを防ぐには、食品をバランスよくとることが大切です。
ターメリックは香辛料ですので、いろいろな食品と組み合わせて料理に使うことができます。カレーライスを週に1~2 回食べるほか、台所にカレー粉を常備して揚げ物、いため物などに用い、がん予防にうまく役立てたいものです。
ウコンの薬効については、こちらが参考になります。
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