米国の医大の薬理学の教授であったスポーン博士は「ガンは心臓病と同様、臨床的な症状や病状がないときに、すでに「完成」してしまっている。よって、ガンを予防するという意味においては、早すぎる、ということはない。
進行ガンを治さねばならないという点に研究者の目が釘づけになっていることが、ガン治療の開発の妨げになっている…」というようなことをいっています。
痛みや発熱、出血などの臨床症状が出てきたときほすでに火事になって燃えている家と同じです。本当にガンの予防、治療をするにほ、家に火がつく前に、火の用心をする必妻がある…というような意味なのです。
ある助教授も「しこりや出血、{疼痛などの臨床症状が出現したガンはかなり進行している。肉眼的に見える範囲のガン腫を手術で取り去っても、かなりのガンで再発したりするのは、こうした症状が出てきたときは、かなりの確率で転移しているからだろう…」といっています。
さて、ガン予防の可能性のある化学物質は600以上も知られています。こうした化学物質を積極的に摂取することによってガンを予防することをくだんの博士は、すでに1970年代より提唱しています。これは化学的予防といわれています。
とくに食品だけに限って見た場合、これまで約40種類に、「ガン予防」に有効な食物が発見されています。
アメリカの国立ガン研究所が、「ガン予防」の効力の大きいものを、とくに野菜やくだものや薬草茶に限ってピラミッド状に並べたものがデザイン・フードです。
ここでは、これまで「健康によい」として民間療法で根強い人気をもつ、ガーリック( ニンニク)、キャベツ、大豆、生麦、人参、セロリなどに、抗ガン効果が甚大という結論が科学的にくだされています。
こうしたガン抑制物質は、自然医学的にいうと、血液の汚れを給麗にする物質といえるわけです。ガンの抑制が期待される物質の中でもカロチンは、自然に最も多く分布する色素群で、600種煩以上も存在しています。
なかでもとくに人参などに多く含まれるβ-カロチンは、その強力な抗酸化作用で、「ガンを予防する」と宣伝され、一躍有名になりました。市販の人参・ジュースが、爆発的に売れていさまさまるのも、まさにβ-カロチン様々というところなのです。
β-カロチンが、ガンの発生や転移、再発を抑えた、という研究報告は数多くあり、β-カロチンの抗ガン効果に対する評価が固まりかけたところに発表されたのが、アメリカの国立ガン研究所とフィンランドの研究機閑と共同でなされた「喫煙者に対するβ-カロチンの効果についての研究です。
結果は、まったく予想に反するもので、β-カロチンを投与されたはうが、肺ガンの発生が多く、狭心症や心筋梗塞などの虚血心臓病の曜患数も多かったのです。
この事実からいえることは、どんな栄養素にも適正な量があるということです。ビタミンB1やB2なども発ガン性をもつことが知られていますが、自然の食物(植物や動物)から、ある成分に効能があるからといっても、その物質のみ抽出して、恒常的に人体に作用させると、発ガン性を帯びてくるという警告でもあるのです。
全体を「丸」とすると部分は「トゲ」になり、全体から一部分のみ取り出して常に作用させると体の細胞を慢性に刺激して、種々の老廃物や中間代謝物をつくり、血液を汚して、ガンをつくり出すと考えてよいでしょう。
よって、人参からつくったジュースを飲むことで、β-カロチンが過剰になるということはあり得ないわけです。β-カロチンの1日の摂取量は、
- 1mg以下(不足症状の出現)
- 5~30mg(ガン予防・治療の効果大)
- 30mg以上(過剰の毒性出現)
というところが、科学的に割り出されている結論です。