これは骨髄抑制という副作用のことです。骨髄は血管つくり出す臓器で、赤血球、白血球、血小板をつくっています。赤血球は肺で酸素を取り込み、全身の組織に送り込みます。
血小板が少なくなると、出血が止まりません。さらに、白血球がつくられなくなると体内を防御するシステムがダウンするため、外部から病原菌が侵入してきても除去できず、暴れ放題になってしまいます。
たとえば、抗がん剤の投与を受けている患者の体内にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が入ってくると、敗血症や肺炎、髄膜炎、腹膜炎になって死亡することがあります。
敗血症とは、血液中に細菌や異菌が入ってきたために発熱や意識障害、ショック症状を引き起こしてしまう病気です。この菌は健康な人にはなんの害もおよぼさないという常在菌ですが、抗がん剤の投与を受けている場合、免疫力が下がっているので重篤な状態を引き起こしてしまいます。
このため、抗がん剤を投与する場合は、白血球や血小板の減少がすぐに発見できるように、何度も検査します。白血球が極端に減っているときは、数量を増やすためむきんしっに特別な薬を投与します。
また、患者さんは無菌に入院していただき、医師や看護師、栄葦など、出入りするすべての人も無菌の衣服を着て管理する必要があります。
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